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会計検査院 コロナ禍における財務変化調査

2022年3月30日 21:08

会計検査院は、国が出資する法人のコロナ禍における財務変化を調査。法人が開催するイベントの中止などが相次ぐ中、いまだにキャンセル料等が契約に定められていない例があるなどと指摘、コロナ禍を踏まえた適切な対応をとるように求めた。

国家予算の無駄遣いなどを指摘する会計検査院は、国が資本金の2分の1以上を出資している204の政府出資法人について、新型コロナの感染防止対策などでイベントや施設使用が無くなった事による財務的影響を調査した。

■中止になった催し物総額7億あまり

緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置による感染防止対策で政府出資法人が開催するイベントでも制限がかかったり、中止になったケースが多かった。

イベントが中止となったものの、その準備などに費用が生じていた35の法人を調べたところ、中止にかかる費用は総額で約7億8648万円にのぼっていた。

そのうち約1億8217万円分を占めた11法人は、イベントを中止する事にした後に、契約相手と協議してキャンセル料など支払い額を決定していた。

最もキャンセル料等の支払い額が大きかったのは、伝統芸能などの催し物を多数開催している「日本芸術文化振興会」で、今後も同じように催し物を開催する事が見込まれていて、法人内でイベントキャンセル時の費用負担の方針を決めていたにもかかわらず、その後の契約書でキャンセル料等を定めていなかった。

会計検査院は、「中止の際の費用負担の方針をあらかじめ定める事ができる場合には、契約書等で定め契約相手との間で費用負担のあり方を明確にしておくよう」指摘している。

■使用が減った施設業務の見直しが不十分

会計検査院は、政府出資法人の施設が新型コロナの影響で、利用休止となったり、入場制限などで利用者が減少した事により、不必要になった業務を見直すなどして経費削減を実施しているかについても調査した。

費用等が減少している法人のうち、比較的規模の大きな博物館や宿泊施設を運営している法人や、コロナ禍前の2018年度と比較して100日以上開館日が減少した法人など21法人、35施設の中で、来館者が減るにもかかわらず、対応スタッフや警備などの委託業務を見直していない施設が6施設あった。

例えば、労働政策研究・研修機構が埼玉県に設置した研修施設「労働大学校」では、遅くとも2020年の9月には同年度の残り7か月、施設で研修を全く実施しないと決定していたにもかかわらず、毎年定額およそ1121万円となっていた施設での清掃業務にかかる費用を削減する検討を十分にしていなかった。

会計検査院は、「委託業務等について業務量や業務の必要性が大きく変化するなどした場合には、必要な見直しを検討するよう」指摘した。

今回、調査した法人の中では違法であったり、不当であるというものはなかったとしているが、会計検査院は指摘した件については気をつけてほしいとしている。