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【緊急解説】「全部疑ってかかったほうがいい」ネット企業の研究していた専門家が警鐘!偽者を見破る“絶対に言わない言葉”とは?“なりすまし投資型詐欺”急増の背景

2024年5月2日 21:00
【緊急解説】「全部疑ってかかったほうがいい」ネット企業の研究していた専門家が警鐘!偽者を見破る“絶対に言わない言葉”とは?“なりすまし投資型詐欺”急増の背景
著名人の“ニセ広告”に騙される人が急増中

 今、急増している『SNSを使った投資詐欺』。中でも問題となっているのが、SNS上で“有名人”になりすまして金を騙し取る『詐欺広告』が相次いでいる実態です。勝手に名前を使われた著名人らも、憤りを露わに…。本物が絶対に使わない“ある言葉”とは?そして、「フェイスブック」や「インスタグラム」の対応が悪い理由とは?自身も“ニセ広告”に利用されているという、元経産官僚・岸博幸氏の解説です。

「ワンパターンだけど非常に“たちの悪い手口”」AIで作られた“ニセ広告”に騙される人が急増中…“本物の専門家が絶対に使わない言葉”にみる、騙されない方法とは?

 2023年の1年間で、『SNS型投資詐欺』の認知件数は2271件でしたが、被害額は約278億円と、件数当たりの被害額の大きさが特徴です。1月から12月までのグラフを見ると、年末にかけて被害額が大きくなっていっていることがわかります。

 また、被害は幅広い世代に拡大しています。栃木・下野市の女性(60代)は、SNS上の広告表示から資産運用に興味を持ち、投資サイトにアカウントを作成。金取引のウソの投資話を信じ、計27回・総額1億2300万円以上を振り込みました。兵庫・加古川市の男子大学生(20)は、SNSで知り合った女性から「投資に興味がありますか」と聞かれ、LINEでやりとりが始まりました。「必勝法がある」などと言われ、別の男に現金約100万円を手渡しました。

 こういった投資詐欺が急増する背景について、元経産官僚・岸博幸氏は「株価が2023年から上昇し、また2024年に入って新NISAが始まり資産運用のブームが起きたことで、詐欺も増えたのではないか」と指摘しています。

Q.この詐欺の特徴は、『被害額の大きさ』と『年代を問わない』というところですよね?
(元経産官僚・岸博幸氏)
「傾向を見ていると、明確に経済評論家や著名人を詐欺に取り込む入り口に使い、それなりに専門用語を使って信じさせて、投資額を増やさせていくという、ワンパターンだけど非常に“たちの悪い手口”がずっと増えている印象です」

Q.若い方にも被害があるというのは、やはり新NISAの影響ですか?
(岸氏)
「『新NISAで資産を増やそう』と、ある意味で政府が音頭を取ったことで、全体的に“資産運用ブーム”が起きてしまいました。その中で、今まで投資をしなかった若い人たちが関心を持ち、当然みんなソーシャルメディアを使っていて、著名人なら安心かと思ってしまう傾向はあると思います」

 2024年1月~4月23日までのメタ社の“なりすまし広告”の数は、「ミヤネ屋」が調べただけでも、森永卓郎氏・約3700件、堀江貴文氏・約1600件、岸博幸氏・約1100件見つかりました。

 実際にあった岸氏の“ニセ広告”には、

【緊急‼急いで貯金を●●に移せ】
【多発性骨髄腫で闘病中の岸博幸氏 残りの人生「あと10年」と言われて、改めて考えたこと 無料で株式投資の経験を共有します】

 といった文言と共に、岸氏の写真が使用されていました。岸氏は、「人の病気を悪用して勧誘文句を作り、写真まで勝手に使って、詐欺の入り口を作っている。許し難いの一言」と話しています。

Q.顔写真が勝手に使われているのですか?
(岸氏)
「そうです。古い写真もあれば、最近の私の写真もどんどん使われています。本当にAIを使えば簡単にできるんです」

Q.「緊急‼急いで貯金を●●に移せ」とありますが、岸さんはこういった活動を実際にされたことがあるのですか?
(岸氏)
「いえ、こんなのはあり得ません。そんなバカなことは言いませんので。逆に言うと、もっともらしいことを言っているんですけど、“絶対に経済評論家が言うことはあり得ないような言葉”を平気で使っていたり、病気のことも悪用されたりしていますので、本当に許し難いです」

Q.“絶対に経済評論家が言うことはあり得ないような言葉”とは?
(岸氏)
「例えば、『個別の株式でどれが上がる』なんてことは、絶対に言いません。また、『貯金を全額どこかに移せ』とか、こんな極端なことも絶対に言いません。やはり評論家は責任を持ったことを言わなければいけませんから、よっぽど断言できる場合は別ですが、普通は『貯金を何々に移せ』『この株式に投資しろ』『この株は絶対に上がる』といったことは言っちゃダメなんです」

Q.いくら著名人の名前や写真が使われた広告でも、『貯金を移せ』『特定の株の銘柄』などが出てきたら怪しいと思ったほうがいいということですか?
(岸氏)
「基本的には、全部疑ってかかったほうがいいと思います」

Q.ある広告では、最初に岸さんの病気のことを書いていて、そこから専門分野である経済の話になってくるので、『これは近況の岸さんで、本業である経済のことを話されているんだな』と思ってしまうのですが、そう思わせるように作られているんですか?
(岸氏)
「そうです、恐らく合成で文章も作っています。そこでも詐欺師によっては“もっともらしい”『数十年に一度の何とか』といったことを言っています。本当に注意しないと騙されやすいです」

“ニセ広告”著名人たちも大激怒!米・メタ社の対応が悪いワケ「詐欺広告をいちいち削除するなんて手間がかかることは絶対にやりたくないし、やる気もないはず」

 インスタグラムやフェイスブックなどで有名な、アメリカの大手IT企業・メタ社。2022年の売り上げは約1166億ドル(約15兆円/当時のレート)で、その内の97%が広告収入でした。

 堀江貴文氏・前澤友作氏ら“ニセ広告”に名前や写真を使われた著名人は、メタ社に何度も削除を依頼していますが、改善されていません。4月16日には、「広告規定に沿って広告を審査していますが、世界中の膨大な数の広告を審査することには、課題も伴います。社会全体でのアプローチが重要だと考えます」との声明を発表しました。

 これに対し、前澤氏は自身の公式『X』で、「社会全体のせい?著名人が利用された詐欺広告なんて、すぐに判別できるでしょ?なめてんの?」と憤りを露わに。前澤氏は、米・メタ本社に対し法的措置を検討しているということです。

 また、メタ社幹部へのヒアリングで、自民党・“なりすまし詐欺対策”ワーキングチームの平井卓也座長が「できれば全ての広告を一時的に止めるぐらいのことを検討してもらいたい」と訴えましたが、メタ社・サイモン副社長は「被害を受けた利用者がいること、心配をかけていることを大変重く受けとめている」と言うに留まりました。

Q.メタ社が動かない理由は、広告収入が売り上げの97%を占めていることが大きいですか?
(岸氏)
「そこが大事なポイントです。ちなみに私、10年ほど前に“アマゾン、アップルが日本を滅ぼす”という本を書いたぐらいネット企業の研究をやっていた人間でして、その観点も加えて言いますと、アメリカのネット企業は『自分たちは、プラットフォームを貸しているだけで、使わせてあげているだけだから、そこでのコンテンツは基本的には責任を持たない』と、広告収入で稼ぐというスタンスなんです。その観点から言えば、『日本で詐欺広告が増えている』と訴えたとしても、恐らく問題のある広告はAIで探知して削る程度のことをやるぐらいなので、個別に人手を使って詐欺広告をいちいち削除するなんて手間がかかることは絶対にやりたくないし、やる気もないはずです。実際、私も2023年秋の段階で詐欺広告があって、メタ社に削除を要請しましたが、簡単な理由をつけて『できません』と言われただけでした」

 しかし、『Google』では2023年から生成AIなど最新のAIを活用し、対策を強化。悪質な広告を検知して不正なアカウントが侵入する前に停止するか、検出後に直ちに削除することを目指しています。

Q.やろうと思えばすぐにできるということですか?
(岸氏)
「できます。実際、『X(旧ツイッター)』には“偽の私”がいっぱいいて、ちょうど昨日も新しい“偽の私”を発見したもので、削除を要請したら、すぐにアカウントがブロックされましたので、会社によっては対応してくれます。しかし、その中で、フェイスブックやインスタグラムなど影響力のあるプラットフォームを持っているメタ社は、残念ながら非常に対応が悪いと言わざるを得ないと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年4月24日放送)

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