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【特集】「 国道の聖地」  新潟市本町交差点は国道の起終点の数が日本一! 新たな名所になるか《新潟》

2024年4月7日 17:29
【特集】「 国道の聖地」  新潟市本町交差点は国道の起終点の数が日本一! 新たな名所になるか《新潟》

新潟市民の台所「本町」。目の前の交差点には国道に関する、ある日本一の記録が。国道研究の第一人者と新潟の国道の魅力を紐解きます。そして、その魅力を生かし、新潟の「まちなか」活性化を目指す新たなプロジェクトを取材しました。今回のテーマは「国道の起終点日本一・道の都新潟」です。

国道の「起終点」が8つある本町交差点

「起終点」とは、起点と終点という言葉を合わせた言葉。電車の路線や道路の始まりと終わりを表す言葉ですが、この起終点が新潟と一体どんな関わりがある言葉なのか。

新潟市中央区の本町交差点にある石碑には、このように書かれています。

「起点7号、8号、113号、289号、 350号」
「終点17号、116号、402号」

国道の起点と終点が8つあることが石碑の中に示されています。

起終点8つは日本一

新潟市中央区の本町交差点は、国道の起終点が日本一多い交差点ということなんです。

これが、どれだけすごいことなのか。

国道愛好家 佐藤健太郎さん
「日本地図だと、国道が赤い線で引いてあることが多いんですけども、新潟近辺は赤っぽいのが一目瞭然で分かる感じがあります。あと雪に対する工夫がものすごく進んでいて、道路先進県と言っていいんじゃないかと思う」

そう語るのは国道愛好家の佐藤健太郎さん。

本町交差点は、国道の「聖地」

佐藤健太郎さんは、国道愛好家として数多くの書籍を執筆しています。

国道の起終点が日本一の本町交差点。

電車や高速道路の上り下りの基準となる東京・日本橋や、青森県にある珍しい階段型の国道などはマニアの間で国道の「聖地」となっていますが、本町交差点はそれらと肩を並べる「聖地」だと佐藤さんは言います。

本町交差点は訪れるべき「必修単位」

佐藤健太郎さん
「なんと言っても8国道の起終点というのは日本で新潟と高知だけですので、そこは必ずおさえておかなければいけない、必ず訪れていなければ『もぐり』と言われてしまうような必修単位の1つですね」

日本の主要幹線が伸びる本町交差点

そんな国道の聖地・本町交差点は日本の主要幹線、「1ケタ国道」と呼ばれる道路が2つも伸びていたり、新潟と関東を結ぶ重要な道路・国道17号が伸びています。

一風変わった国道「350号」も伸びる

そして国道350号のような一風変わった国道も。

経由する道はなんと海の上。小さな島が多い九州では一般的な「海上国道」。東日本では珍しい存在です。フェリー内に標識があるので是非探してみては。

“酷道”289号も伸びている

続いては、新潟から本州を横に移動し太平洋側へ向かう国道289号。途中にある甲子峠はかつて車もバイクも通れない登山道の国道でした。過酷という当て字を使った“酷道”と呼ばれ、マニアの間で親しまれていました。こちらはすでに整備されましたが 新潟と福島との県境にある八十里越には現在も19kmに及ぶ不通区間が。地名の通り険しい峠道を現在整備しています。

個性豊かな道路が伸びる本町交差点。日本最多、8 つの起終点が集結した理由について佐藤さんは次のように分析しています。

信濃川に流れ込むように新潟へ集まる

佐藤健太郎さん
「国道の起終点は必ず大都市でなければならないみたいな、道路法でも細かい規定がいくつかあるが、日本海側の最大の都市である新潟に集まったのは必然のこと。いろいろな川が集まって1本になって最後に信濃川に流れ込むように、いろいろな国道が集結していくという意味ではちょっとロマンを感じるところであります」

本町交差点の周りでは国道の起終点を生かした新たなプロジェクトの動きも。

「8連おむすびプロジェクト」が始動

何やら本町の歴史を学んでいる参加者たち。

すると、スクリーンには本町交差点と国道の標識が8つ並んでいる図が映し出されています。

3月11日、新潟国際情報大学で行われていたのは「8連おむすびプロジェクト」のミーティング。

「おむすび」とは標識のこと

プロジェクト名に入っている「おむすび」は食べ物ではなく、国道の青い標識のこと。

国道の起終点にちなみ、8つの番号標識が並んだモニュメントの設置を目指しています。

それに先立ち、学生たちの有志が地元の商店街や商工会議所と連携しながら「まちのにぎわい」創出につなげるアイデアを考えています。

福井県にある「4連おむすび」

モニュメントのように複数並べられている「おむすび」は珍しく、現在福井県にある4連おむすびが国内最多、国道マニアも数多く訪れる聖地です。

新潟市の本町交差点では「8連」を目指す

参加者
「標識が8つ立った画って、どうです?」
「確かに国道が8つ重なっている、日本一と言われればすごいことと思うかもしれないけど、そこから先にストーリーとか色々なものがないと」
「歴史とかその背景を知ることで興味持つことができるので、まずその知る機会っていうのが大切だなって思いました」

ミーティングでは、街をより良くするための熱い議論が交わされていました。

池田博俊さん
「ここに道路元標がありますので、ここを歩いた時にこの辺にこうあったら分かりやすいし、楽しいかなと思いますね」

8連おむすびプロジェクト発起人の1人、池田博俊さんです。

池田博俊さん
「国道が今この場所に8本重なってるっていうのはどういうことかというと、新潟のまちがそれだけ重要な拠点だったと、今までの歴史の中の位置付けとか拠点性っていうことを街づくりに繋げていけるんじゃないかな」

「8連おむすび」について国道愛好家の佐藤健太郎さんも期待を寄せています。

佐藤健太郎さん
「名所を作るというような意味合いとしては、費用対効果が高いですよね。標識立てるだけのことなので。見た目にもすごくインパクトがありますし、8連おむすびみたいなものは、すごく面白いやり方なんじゃないかと」

まちの活性化につなげる

商店街、商工会議所、学生の皆さんが一緒になって取り組んでいる「8連おむすびプロジェクト」。

本町や古町付近の地域に馴染みがないという学生もいて、まずはプロジェクトメンバーで街歩きをして「街を知る」活動から始めていこうということで今、取り組み進めています。

学生が中心となって8連おむすびを生かした「まちなか」の活性化アイデアをまとめていき、今年秋に新潟市に提言して2025年度にも8連おむすびのモニュメント設置を目指していくということです。

これが実現したら新たなシンボルとして街の活性化につながるかもしれません。


2024年3月22日「夕方ワイド新潟一番」放送より