『あしたのジョー』作者 ちばてつや85歳「漫画を日本の文化として育てていきたい」漫画への思いを語る
今年で72回目を迎える菊池寛賞を受賞したちばさん。社会現象にもなった『あしたのジョー』をはじめ、『おれは鉄兵』、『あした天気になあれ』など数々の名作を世に送り出し、70年近く読者に愛されてきたほか、後進の発掘や、作者の権利を守る活動など、長年にわたり日本漫画の振興に尽力してきたことが評価されました。
ちばさんは、自身の子ども時代について「親は、漫画は毒がある、漫画を読んで勉強しなくなる、だから漫画は読んじゃダメって。私はそういう家庭で育ちました」と振り返りました。
続けてちばさんは「そういうなかで手塚治虫さんにしても、『赤胴鈴之助』を描いた武内つなよしさん、『鉄人28号』を描いた横山光輝さんだとか、いろんな先輩たちがそれでも負けないで一生懸命漫画を描いて、だんだん表彰される(ようになった)」と先輩たちの功績をたたえました。
また、ちばさんは、漫画について「一人で描けるものじゃなくて、編集の人の意見を聞いたり、先輩たちのマネをしたり、いろんなものの影響を受けてやるものなので、手間のかかるもの」と表現。「そういう人たちのおかげで、こういう賞をお預かりしました」と、これまで支えてくれた人たちに感謝の気持ちを述べました。
そして、最後に「これからも、文化とよばれた“漫画”をみんなでもっともっと日本のいい文化として、育てていきたいなと思います」と語りました。
菊池寛賞には、ちばさんのほか、作家で文化人類学者の上橋菜穂子さん、映画監督の山崎貴さんと映像制作会社の白組、ジャーナリストの後藤謙次さん(75)、脚本家の大石静さん(73)も受賞しています。