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人間国宝桂米朝展「上方落語にとっては宝」

2011年7月22日 14:44
人間国宝桂米朝展「上方落語にとっては宝」

 人間国宝で落語家の桂米朝(85)の業績をたたえた「桂米朝展」の開幕にあたり、総合プロデューサーを務める息子で落語家の桂米團治(52)が取材に応じた。

 東京・新宿の紀伊國屋画廊で来月2日まで開催されているもので、同種の展示会が東京で開催されるのは初めて。自宅に眠っていたお宝の中から、厳選約230点が展示されている。

 段ボールや紙袋などに、米朝が関わってきたすべての資料が残されているというが、「これまでは触らせてくれなかった。ちょっとでもいじろうものなら『触るな!』。歴代の弟子が触れなかったんですが、最近どうでもよくなってきたみたいです」と米團治が説明する。

 昨年、姫路文学館、大阪・ワッハ上方、尼崎市総合文化センターで形を変え開催した展示を、初めて東京で開催する運びとなった。

 父の足跡と改めて向き合った米團治は、「米朝が元気なうちにこういうことをやらなあかんと。米朝の業績をあらためて顧みると本当にすごい父親だなと思います。半年前くらいから東京での桂米朝展を考えてきた。資料を集めれば集めるほど、父は偉大な人物だと思う。落語家を通りこして、文化人として大きな業績を果たした人だと思います」としみじみと語った。

 米朝の学生時代の後輩で、米朝の生き字引的存在の小澤紘司さん(66)が米朝宅に泊まり込み、150時間ぐらいかけてコツコツ資料を整理。「全部をやるには、5年くらいかかるかも知れませんね」(小澤さん)というほどお宝が、まだまだ眠っている。

 手書き原稿やテレビの台本、NHKの謝金袋などが、一度も捨てたことがないという資料の山々から発掘され、展示されている。「これだけの資料が出てきたのは、上方落語にとって宝だと思います」(米團治)。

 会場の紀伊國屋画廊のすぐ隣は、米朝が東京で初めて独演会を開いた場所でもある紀伊国屋ホール。27日には米朝トリビュートの会(昼)と米朝一門会(夜)が開かれる。31日の米朝特選落語会には、米朝本人も上京して出演。“米朝よもやま噺”を語る。

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