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【キャプテン】“寄せる”努力と研究は続く

2019年4月22日 21:47
【キャプテン】“寄せる”努力と研究は続く

故ちばあきお氏の傑作野球漫画「キャプテン」の続編「キャプテン2」が24日、「グランドジャンプむちゃ5月号」(集英社)でスタートした。

「キャプテン2」を手がける漫画家のコージィ城倉氏は、「プレイボール2」の連載も一昨年から担当。
あきお氏へのリスペクトを込めてコージィ氏が描き出したキャラクターはきわめて再現度が高く、「“完コピ度”がすごい」などと話題になった。

名作を引き継ぐにあたってプレッシャーはなかったそうで、「不思議なことに、そこら辺はあんまり感じなかったんですよ」とコージィ氏。あきお氏のキャラクターを忠実に再現するという選択は「茨の道」とも言えるが、コージィ氏はあくまで読者目線で冷静に判断したようだ。
自身も学生時代に「キャプテン」「プレイボール」を夢中になって読んでいたコージィ氏は「過去の名作のリメイクは、まったく違う作家がスピンオフというか新機軸というか、あるいはその作家のオリジナリティーを積極的にぶち込んでサイドストーリーを作っていこうっていうのが王道なんですけど、『キャプテン』(シリーズ)の世界でそれをやったら、読者は嫌がるんじゃないかなと思って。同じテイストで絵柄もそっくりそのままマネて、続きをやった方が読者は喜ぶんじゃないのかなって思ったんで」と語る。

現在も“ちばあきおタッチ”に寄せる作業は絶え間なく続けており、「『これくらいだったら』って満足のレベルまでは到底いっていないです。もっと似せられるんじゃないのかなって」と、きっぱり。
描けば描くほど「細部を突き詰めよう」という思いが頭にわいてくるため、「自分で描いてみて分かることもあるわけです。『ここはこう描かないと似ないのか』とか、『こういうテイストってあったのか』とか。これ(=前作キャラクターを忠実に再現すること)は僕も初めての経験だし、漫画家でもこれをやった人っていないんじゃないかなって自分は思っているんで、やりがいがあるんですけど、常に自分との闘い、自問自答で…」と手綱を緩める様子はない。

あきお氏の世界観から「何も足さない、何も引かない」という理念で連載を続けているが、「プレイボール2」にしても「キャプテン2」にしても、読者の興味を引きつける“きっかけ”作りは必須。
コージィ氏は「プレイボール2」に“モウちゃん”という巨漢のキャラクターを登場させているが、実は“モウちゃん”はあきお氏がかつて別の作品(読み切り)で描いていたキャラクター。コージィ氏は「この(キャプテンシリーズという)作品は、ちば先生が作ったキャラを使い回していかないと、それっぽくならないという宿命があるんです。僕の新キャラでライバルっぽいのを作った瞬間、オリジナルから離れちゃう。だから、ちば先生がほかの作品で使ったキャラを持ってくれば、ちば作品っぽさが保てるんですよね」と意図を明かす。

「キャプテン2」の連載は、始まったばかり。自身もオリジナル野球漫画のヒット作を世に送り出してきたコージィ氏がこの先、どんなストーリーを展開させていくのか目が離せない。