アカデミー賞候補作で伝えたいこと ドキュメンタリー監督・山崎エマ「まずは教育に関心を」
1月に、アメリカのアカデミー賞候補が発表され、『短編ドキュメンタリー賞』に日本を題材にした作品がノミネートされました。タイトルは『Instruments of a Beating Heart』です。
日本の公立小学校に約1年間、4000時間も密着し、授業の様子から掃除・給食の配膳・学校行事の準備など、ありのままの学校教育を取材。これをもとに2本の作品が作られ、1本は世界で公開された1時間39分の長編作品。そしてもう1本、23分の短編作品が今回アカデミー賞にノミネートされました。
映画を手がけた山崎エマ監督は「やってきてよかったなと思いました。同時にこれでいただいた注目を、教育のことであったりとかに光を当てていきたいなってすぐに思いました」と明かしました。
■山崎監督が小学校で学んだ“自分の役割”
イギリス人の父と日本人の母をもつ山崎監督は、日本で生まれ育ち、19歳でアメリカに渡り、ニューヨーク大学の映画制作学部を卒業。編集助手としてキャリアをスタートさせました。日本の小学校を題材にした理由、それは大人になって気づいた小学校時代のある経験からでした。
山崎監督は「社会人になって、自分としては普通に当たり前に頑張って、いろんなことに協力してやっているだけなのに。“すごく頑張りますね”とか“周りに配慮がありますね”なんて言われたりとか」と語り、「やっぱり日本の小学校で学んだことっていうのが、大きくあったなって思えたんですよね」と理由を明かしました。
また、映画では入学したばかりの1年生に密着。クラスで先生が教えていたのは、勉強だけではなく美しい姿勢や掃除の方法、集団行動についても丁寧に教えていました。これらの一般的な日本式の教育は海外から驚かれるといいます。
映画の反響は広がり、アメリカやエジプト、さらに教育大国フィンランドでは20の映画館で公開。4か月のロングラン上映を果たしました。
最後に、山崎監督が映画を通して伝えたいことを伺うと「まずは教育に関心を持ってほしい。生まれた時から人間ってこうなれてるわけじゃなくて。教育でつくられていく。子どもたちだって大人が決めた箱の中ですくすくと育っていくので、やっぱり大人たち、私たちの責任みたいなところを思い返す。そういうきっかけにしたいなと思ってこの作品に取り組んできました」と思いを語りました。
(2月7日放送『news every.』より)