AAA・與真司郎に密着取材 「今はリスクもある」カミングアウトした思いを明かす
■自身がゲイであることを公表後、初の公の場
11月、イベントに出演するための準備をしていた與真司郎さん。ゲイ公表から、初の公の場を前に「自分のことを日本で、セクシュアリティーのことも含めて隠さずに言ってもいいということに、すごく最初の方慣れなくて、けど最近はやっと慣れてきて、逆に自分が気にすることはダメだなと思って、みんなが気にしないようにしてくれているんだから、当事者が気にしないように胸を張って前に進んでいかないと何も変わらないなと」と心境を明かしました。
與さんが出席したイベント『work with Pride 2023』は、LGBTQ +の人たちが働く職場環境の改善を考える集まりで、多くの企業が参加しました。
ステージで與さんは「別に特別扱いされたいわけでもないですし、気を遣われたいわけでもないですし、それを望んでいるわけでも全くなく、本当に普通に接してほしい」とメッセージを発信しました。
■2005年にデビュー 隠していた自身のセクシュアリティー
2005年に音楽グループ・AAAのメンバーとしてデビューした與さん。現在はアメリカと日本を拠点に活動しています。そして今年7月、自身がゲイであること事をカミングアウトしました。
アーティストとして活躍する一方、自分のセクシュアリティーを隠してきたことについて「もうつらかった思いしかないですかね。本当に辛かったからこそ、自分のセクシュアリティーを考えないように、夢に向かってもうとにかく仕事に打ち込む。仕事に打ち込むしか本当にチョイスがなかったので」と振り返りました。
■與さんたっての希望で交流会が実現
イベント終了後、特別にzeroのカメラが入ることを許されたのは、與さんとLGBTQ +の当事者や支援者たちとの交流会です。普段の生活の中でどんな悩みがあるのか、與さんたっての希望で実現しました。
参加者が「自分はジェンダーアイデンティティーについて悩むことが多くて、自分大学生なんですけど、お手洗いに行きたい時に多目的トイレの数が少なくて、授業も早退したり遅刻したりしてトイレに行かないといけない場面があるのでそういう時に少し不便かな」と打ち明けると、與さんは「そういうのは、日本だけじゃなくてアメリカと世界共通な気はしますよね。たぶん困っている人が多いんじゃないかなというのは思いますね」と共感していました。
トランスジェンダー当事者の参加者は、海外留学した時の体験について「本当にカミングアウトできないという状況で過ごしていたので、目の前でもう一人のトランスジェンダーの男の子がいて、その子は超いじめられていて、この子がいじめられているのに自分、今カミングアウトしたら終わるって思って」と話しました。
自身を男性・女性どちらにも当てはまらないと考えている、ノンバイナリーの参加者は「性表現はわりと女性に近いと自覚はしているので、それを他人に説明するっていう義務が生じることは、私にとってはかなりストレス。親しい友達とかにはカミングアウトしたつもりだったんですけど、つい最近友達から英語で話している時に、She Herで呼ばれた時に結構傷ついて。十分伝わっていると思ったけど、足りていなかったな」と打ち明けました。
すると與さんは「僕らも、やっぱり相手が分からないということを理解してあげるのも僕はすごく大事だなって(思う)。お互い話しあって優しく教える。僕はやっぱり、相手が分からないっていうのも、理解してあげないとなって感じました」とアドバイスしました。
交流会終了後、與さんは「10代の方でも悩んでいる方がたくさんいると聞いて、 本当にこれって日本だけじゃなくて、やっぱり世界で問題なんだなって改めて思いました。自分たちは別に悪いことをしているわけでもないし、なりたくてなったわけでもないですし、そこはやっぱり異性愛者の方たちも、ちょっとわかってくれるだけで、本当に救われる人がたくさんいるなと」と振り返りました。
■「一人でも多くの方が生きやすい社会に」與さんがいま思うこと
7月にカミングアウトした與さん。いまだからこそ感じていることがありました。「カミングアウトしても受け入れてくれる体制が一般的にどんどん広まったら、芸能人も言いやすくなるけど、今はリスクもある。それを言ったら人気が下がってしまうのではないか、ファンの人が離れていってしまうのではないかって。いつかはカミングアウトもしなくてもいい社会が来てくれたら。ノーマライズされて、一人でも多くの方が生きやすい社会、世界になってくれたらいいなと思います」と語りました。
(『news zero』2023年11月23日放送)