【初公開】熊本地震で破損した熊本城の宇土櫓(国重要文化財) 復旧解体工事前の内部を撮影
約400年前とされる築城当時の姿を残す宇土櫓。2016年4月に起きた熊本地震で、熊本城は大きな被害を受けました。宇土櫓は何とか姿を保ったものの、南側にある続櫓が倒壊し、石垣が圧力で押し出されるなどの被害が出ました。
国指定重要文化財で、大天守、小天守と並び「第三の天守」と呼ばれる宇土櫓。復旧工事のための解体を前に、地震後初めて内部が報道陣に公開されました。
内部は被災直後のまま
■熊本城総合事務所 田代純一さん
「宇土櫓の中に入りたいと思います。こちらが宇土櫓の1階です」
宇土櫓は地下1階、地上5階建ての木造建築です。大きくはがれた漆喰の壁や床…裂けた柱。内部は、ほとんど被災直後のままといいます。
■熊本城総合事務所 田代純一さん
「レーザーで垂直を出しています。この下を柱の面に合わせています。ここから垂直がレーザーの赤の線になりますが、見ていただくと、ずれているのが分かると思います。それだけこの柱が左に傾いている、倒れていることが分かるかと思います」
96年ぶりに解体工事 修復完了は2032年
地震の後、修復に向けた会議を重ねた結果、部分的な修繕では全体の歪みを直せないと判断。一度解体し、耐震補強を施して組み直すことになりました。宇土櫓が修理のためにすべて解体されるのは、昭和はじめの1927年以来96年ぶりです。
■熊本城総合事務所 田代純一さん
「今後解体し、修理、組み立ての設計をする際には、柱の年代測定もしていきたいと思っていますので、その中で当初材(創建当時の木材)などが見つかればいいなと考えています」
修復工事は2032年の完了を目指します。また工事は素屋根で囲って進め、復旧の様子はネット越しに見られるということです。