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【たまご高騰】半年間は高値続く可能性も…「神頼み」のワケ

2023年2月14日 20:04
【たまご高騰】半年間は高値続く可能性も…「神頼み」のワケ

「下がる要因がみあたらない」

そう話すのは、たまご業界の関係者。取材に応じる声のトーンは低く、「すぐには戻らないのではないか」と付け足し、事態の深刻さをにじませました。この関係者が嘆いているのは、鳥インフルエンザの感染拡大による「たまごの価格高騰」です。きょう、JA全農たまごが公表した「たまごMサイズ」の卸売り価格は、東京で1キログラムあたり335円。2月7日に更新した最高値を再び更新しました。

たまごの卸売り価格は2023年1月31日に、統計が公表されている1993年以降で最も高い305円(東京)をつけました。以降、2月3日には315円、7日には325円と非常に速いペースで値上がりし続け、そしてきょう335円をつけました。

■半年間は高値が続く可能性…ナゼ?

たまご業界関係者によると、ニワトリはヒナからたまごが産めるようになるまで半年間ほどかかり、その間はたまごの高値が続く可能性があるといいます。

鳥インフルエンザの感染は2月10日時点で25道県で確認。約1478万羽が殺処分の対象となっています。こちらも過去最多となっています。

■かつてない感染拡大に…「対策にも限界が…」

かつてない鳥インフルエンザの感染拡大にたまごの生産農家も不安な胸の内をのぞかせています。

「やれることはやっているが、対策にも限界がある」

話を聞かせてくれたのは東京・立川市にある伊藤養鶏場の伊藤彰代表。野鳥がウイルスを運んでくることが多いため、外から野鳥が入ることができないよう金網を張ったり、消毒用の石灰を鶏舎の周りにまいたりして感染対策をしているといいますがー。

「野鳥以外にもネズミなどの小動物がウイルスを運んでくる可能性もある」

ひとつの養鶏場でたった2~3羽でも感染したニワトリがでてしまうと、養鶏場のすべてのニワトリを殺処分しなければならず、たまごが生産できなくなるということです。

■マヨネーズにも影響…すでに値上げの動きも…

一部の加工向けのたまごにもすでに影響が出ています。

キユーピーは4月1日出荷分から「キユーピーマヨネーズ」450gの参考小売価格を税込み475円から520円に値上げすることを発表。「味の素」も看板商品の「ピュアセレクト マヨネーズ」などの出荷価格を5%から9%程度引き上げます。たまごの価格が急速に上昇し、コストの上昇分を企業努力で吸収するのは極めて困難なため、値上げに踏み切ったとしています。

■農水大臣は「神頼み」

野村農林水産大臣は14日の閣議後会見で「鳥インフルエンザが収束したところは、再生産に向けてヒナを導入したりしている。もうしばらくすると、たまごが市中に出回って、価格も下がってくるのではないかと、神頼みみたいなことを思っております」と発言。事業者や関係者、農林水産省などが一体となって感染対策を十分に徹底した上で、これ以上感染が広がらないことを“神頼み”。

鳥インフルエンザが発生した養鶏場は、殺処分して消毒したのち、検査を受けたあと再開することができます。“物価の優等生”と呼ばれ、安定した価格で、私たちの食卓やお弁当を彩ってくれた、たまご。価格はいつ安定するのでしょうか?