女性初の銀行トップが語るリーダー論 2
「野村信託銀行」社長・鳥海智絵氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。1つ目のキーワードは「“女性初の銀行トップ”就任 しかし、『これ誰?』と言われる事態に。名刺には2つの名字」。社長就任当時、鳥海氏を取り巻く環境はどのようなものだったのか?
■“旧姓”じゃないとわからない?
――鳥海さんの社長就任当時の名刺には、名前のところに「眞保(鳥海)」と表記されていますが、どういうことでしょうか。
もう3年前のことになりますが、私は結婚してもずっと旧姓の鳥海という名前で仕事をしていたんですけれども、社長になったときに、商業登記規則で戸籍上の名前でないと登記ができないということで、契約書等も戸籍上の名前になるので、それであれば業務上の名前も戸籍上の名前にということで変えました。
ただ、急に名前が変わったものですから、「これ誰?」というようなことも言われましたし、こっそり「離婚したのかしら」とか言われたこともありました。
――やっぱりまだ法律がついてきてなかったということだと思うんですが、その後、ルールが変わったんですよね。
そうですね。1年後には規則が変わりましたので、もともと使っていた旧姓に戻し、今に至っています。
――当初は本当に女性の総合職自体も少ない時代で、やはりこういったことも起きたんですね。
そうですね。入社したとき、総合職は本当に少なかったですし、登記をするのが女性であるという前例がなかったのではないかなと思います。
■性別を意識せずのびのびと
――当時、社長が女性ということがあまり考えられなかったのかもしれませんよね。鳥海さんご自身、「女性初」と言われる事が多いと思うのですが、そういったことにどういう考えを持っていますか。
いろいろ言われると、そんなに珍しいのかと思ったりしたんですけど、私は比較的恵まれていて、野村証券に入ってからも上司に恵まれました。特に、女性だからとか男性だからとか、意識することなくここに至っていたものですから、ちょっとびっくりするところはありますね。
「“野村”というと、すごく男性社会」と、よく言われるんですけれども、別にそんなこともなく非常にのびのびと、今までやらせていただいてます。