日経平均3万9000円突破 “バブル超え”も実感なく…物価高で賃金あがらず
日経平均株価がバブル期につけた史上最高値を更新しました。歓喜の声があがる一方で、バブル時代を知る人は、バブル景気とは違う現状を感じていました。
実に34年ぶりでした。22日午前10時すぎ、日本が歓喜の瞬間を迎えました。
記者
「いった! いきました! 今、バブル後の最高値を日経平均株価が更新しました」
午前10時すぎ、日本経済の体温計とも言われる日経平均株価が、バブル期の1989年に記録した最高値、3万8915円87銭(終値)を更新しました。
さらに、午後の取引では取引時間中の最高値を超え、史上初の3万9000円台を突破。終値もバブル期を超える3万9098円68銭となりました。
この歴史的な日に、バブル期から証券会社で働く人は…
バブル期から働く岩井コスモ証券の営業担当者
「感慨深いものがありますね。日本の経済も上向いてきたかなと」
街中の投資家も…
投資家
「ありがたいですね。バブルの時はすごかった、もうなんでもかんでもゴーゴーゴーって感じです」
その言葉通り、前回の最高値をつけた1989年12月は“バブル景気”の絶頂期でした。“土地は絶対に値上がりする”という“土地神話”が広まり、東京の土地は異常なまでに高騰。ベイエリアに超高層住宅が登場したのもまさにこの頃です。
そして、若者たちはディスコのお立ち台で夜通し踊り狂い、夜の街にはタクシーがあふれ、銀座などの繁華街では“争奪戦”が勃発。お札を手に持ちアピールしてタクシーを止めようとする人の姿も見られました。
多くの人が好景気に沸いたバブル期。あれから34年、当時からタクシーの運転手を続ける男性は…
業界歴約50年のタクシー運転手
「料金が(1メーター)170円の時にお客さんが指を1本、2本、3本と立てるんです。1000円、2000円、3000円、4000円、5000円と、メーター(料金)に上乗せする」
今の景気については…
業界歴約50年のタクシー運転手
「一般市民は給料が上がってないじゃないですか」
――期待はあまりない?
業界歴約50年のタクシー運転手
「ない」
70代の運転手も…
――バブル期のチップは1日でどのくらい?
業界歴51年のタクシー運転手(70代)
「2000円、3000円はありましたね。食事に困りませんでしたもん」
――バブルのころと羽振りの良さと比べて今は?
業界歴51年のタクシー運転手(70代)
「それは全然、雲泥の差。(今は)チップなんか1円もくれません」
最高値でも好景気の実感は“ゼロ”だといいます。
◇
埼玉県のスーパーで話を聞いても、「ピンとこない、株価が史上最高になったとか」との声があがりました。バブル期の25歳ごろ、給料30万円に加え、タクシー代を10万円以上もらっていたという女性は…
主婦(60代)
「同じ給料でも(今は)余らないと思う。やっぱり物価が高いと思います」
物価高の中、実感がともなわないとの声もある中、専門家は、今回の株高はバブル期と違い実態がともなうため、きちんと賃上げが続けば、私たちの暮らしにも恩恵をもたらすと話します。
三井住友DSアセットマネジメント 吉川雅幸さん(62)
「今回の株価は、89年のバブル的な株価とは全く違う。今回(の株高)に関しては(バブル期の)単に土地が上がっているから、不動産が上がっているから株が上がっているわけではなくて、(今回の株高は)ちゃんと(日本の)企業が、十分に金を稼げる利益率を確保している状況が株高の背景だから、今回の株高の背景には、(日本企業の)利益率の改善がありますから、ある意味、賃上げがこれから続きますよという、ひとつのシグナルというか、給料がちゃんと上がっていくことを示しているから、徐々に時間とともに実感していくんだと思います」