梶山経産相に問う!日本のエネルギー 前編
地球温暖化を食い止めるべく、各国が進める脱炭素社会の実現。問われる日本のエネルギー政策は!?デジタル社会を支える半導体戦略は!?9月2日、梶山弘志経済産業大臣がBS日テレ「深層NEWS」に出演。報道局経済部記者でもある右松健太キャスターが生直撃しました。
■再エネの4番バッター「太陽光発電」戦略は?
今年7月、国のエネルギー政策の方向性を決める「エネルギー基本計画」の原案が公表されました。温室効果ガスを2013年度比で46%削減するとした2030年度には、発電量のおよそ6割を再生可能エネルギーや原子力発電などの「脱炭素電源」にすることを目指すとしています。中でも、再生可能エネルギーの全電源に占める比率は2019年度の実績で18%ですが、新たな計画では36%から38%へ引き上げ「主力電源」として「最大限の導入を促す」と明記しました。
右松キャスター「現時点で再エネの4番バッターは太陽光発電だと思います。いまや、平地面積あたりの設備容量は世界一になりました。その反面、山地が多い日本では設置場所の確保も難しくなってきています。景観を損ねると設置を規制する自治体もあります。それでも2030年には現在のおよそ『倍』の導入量を目指している。この状況から、太陽光発電の拡充という課題をどう突破していくとお考えですか?」
梶山大臣「2030年というのはあと9年後ですね。技術開発という点では、なかなかやっぱりブレイクスルーした技術が出てくるわけではないということになると、現在の技術の中で、それを補っていくということになりますから、当面、太陽光ということになります」
「太陽光発電を日本はかなり設置をしてきています。そういった中で、さらに適地があるかどうかということで、今年の国会で改正をした温対法(地球温暖化対策推進法)に基づいて、各自治体に適地をしっかりと指示をしていただくということも必要でしょう。あと、公共物に設置するというのも必要でしょう。さらに民間住宅の屋根に載せていくということで国交省とも連携をしながら、こういった位置付けをどうしていくかということを、今やっているところです」
「ペロブスカイト型太陽電池というのがあって、フィルム状で壁面にも貼れる。まだ実装の段階にはなりませんが、変換効率を上げていく、さらに価格を下げていくことが2030年までにできれば、(太陽光発電も)増えていくということになりますが、技術開発できていないものをあてにするということはできません」
9年後には公共施設や住宅の屋根、田畑の上など街のあらゆる場所に太陽光パネルが設置されているかもしれません。しかし、地域でトラブルがないように配慮しながら適地を探していくことが大きな課題だということです。
■原発への信頼は「戻ってこなかった」
エネルギー基本計画で2030年度の導入割合は20%から22%と、これまでの目標を維持しています。しかし現在、福島第一原発事故後に稼働しているのは10基。全体の6%です。賛否が大きく分かれる原発政策について梶山大臣は。
右松「(脱炭素電源として)太陽光が4番バッターとすると、全員野球のスターティングメンバーの1つが原子力発電です。目標に向けてあと9年で原発17基を再稼働させなければならないとされていると考えれば、1年で平均2基近くを再稼働しなければなりません」
梶山大臣「(福島第一原発)事故後、10年間では信頼が戻ってこなかった。その再稼働するための地域の信頼、国民の信頼が足りていないという認識でおります。ですから、この10年間いかに信頼を取り戻すことができるか。それはどういう形でみえるかというと、やはりそれぞれの地域でご理解をいただいて、再稼働の原子力発電所を増やしていくということだと思いますけれども、再エネ最優先なんですけれども、そのためにバックアップの火力発電所も必要ということになる。さらにまた、今度は絶対量がそれに足りているかどうかと言ったときに、ベースロード電源としての原子力が必要だということになります」
電力の安定供給のために原発の再稼働は必要だとする一方で、その道のりのために、国民全体の信頼をどう取り戻すかが重要だということです。
■賛否分かれる原発の新増設・立て替えは
今回、エネルギー基本計画に明記されなかったのが、原発の新増設や建て替えについてです。今のルールでは原発の運転は原則40年とされていて、原発の運転期間を最長の60年に延ばした場合でも、2050年には23基にまで減っていきます。
右松「再稼働以上に賛否分かれる議論だと思いますが、このままいくと次々と廃炉を迎える原発が増えていく。何もしなければこの人材ですとか、技術も先細っていきます。この長期的な脱炭素、安価で安定的なエネルギーと考えたときに、原発の新増設はお考えですか」
梶山大臣「今の時点では、少なくともやはり信頼は取り戻せていない、再稼働もできないということですから、新増設やリプレース(建て替え)という話にはなかなか繋がっていかないと思っています」
「エネルギー基本計画を議論するにあたって、賛成の方、反対の方、いろんな意見をいただきました。(中略)声が届かない両岸で言っているよりも、1つのテーブルのもとでしっかり議論しようということで、どういった点が考えられるか、どういったリスクが考えられるか、どういったことが信頼に繋がるかという議論をさせていただきました。今回は残念ながら、やはりリプレースや新増設ということには至らなかったというのは、まだ信頼が戻っていないということだと、私はそういう判断をさせていただきました」
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後編へ続く