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日銀の正副総裁が発言 植田氏、世界経済分断で「為替不安定に」 内田氏、段階的な利上げは「経済と物価の安定につながる」

2025年3月5日 12:36
日銀の正副総裁が発言 植田氏、世界経済分断で「為替不安定に」 内田氏、段階的な利上げは「経済と物価の安定につながる」

日本銀行の正副総裁が5日、相次いで発言しました。植田和男総裁は世界的に地政学上の不確実性が増していることを念頭に、世界経済の分断は「為替レートの動きを不安定にする可能性がある」と懸念を示しました。

IMF(=国際通貨基金)のイベントで挨拶した植田総裁は「世界経済の分断は、各国間の金融政策のスタンスの違いを拡大させる可能性がある」と指摘しました。

その上で、地政学的な緊張が高まれば、「為替レートの動きを不安定化させる可能性がある」との懸念を示しました。

ただ植田氏は、日銀の今後の金融政策などについては特段触れませんでした。

一方、内田眞一副総裁も5日、静岡市内で講演し、日本経済が回復し、一時的な要因を除いた“物価の基調”が高まっていくなら、段階的に利上げを行い、政策金利を調整していくことが「長い目で見た経済と物価の安定につながる」と強調しました。

内田氏は、その上で「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と述べました。これまでの日銀のスタンスを踏襲した形です。

今後の利上げペースについては、「経済の反応を確認しながら進めていける」と述べるにとどめました。

内田氏はまた、2025年度後半から26年度までの1年半のどこかの時点で、現実の物価と一時的な要因を除いた物価の“基調”がともに2%程度になり、日銀の掲げる2%の物価安定目標を「実現できる」との見通しを示しました。

一方で、利上げのゴールである「景気や物価に中立的な政策金利の水準」が、どの程度なのかについては、「実際に金利を上げていく過程で、経済や物価の反応を点検しながら確認していくものであり、現時点では我々も確かなことは、わからない」との見方も示しています。

また、上昇が続く長期金利をめぐっては、日銀が去年から国債の買い入れを減額しているものの、「残高ベースの減少はわずかなので、引き続き大きな緩和効果を有している」と指摘しました。

その上で、長期金利が急激に上昇するような“例外的な状況”では、機動的に国債の買い入れを増やし、安定的な金利の形成を促していく、これまでの方針に「変化はない」と強調しました。

注目された日銀の正副総裁の発言でしたが、今後の利上げペースに関する踏み込んだ発言がなかったことで、為替への影響は限定的となっています。円相場は正午時点で、1ドル=149円台後半で推移しています。

最終更新日:2025年3月5日 12:36
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