オリンピックまで2か月 パリで宿泊費に異変 高騰後、値下がり…背景に何が?
2か月後に開幕するオリンピックを控え、フランスのパリでは宿泊費に異変が起きています。一旦、高騰した後、今度は値下がり…背景に何があるのでしょうか。
■「五輪期間中、家を貸します」という広告が多数、掲載
8日、フランスに到着したパリオリンピックの聖火。15万人が出迎えました。新型コロナウイルスの感染拡大で制限されていた観客も、スタジアムに戻ってきます。
大会期間中、パリには1100万人が訪れると予想され、去年から今年はじめにかけて、ホテルなどの宿泊費が高騰。
佐藤篤志記者(NNNパリ)「フランスで日本人向けに出されている情報誌でも、『オリンピック期間中、家を貸します』という広告が多数、掲載されています」
その価格は1泊1200ユーロ。パリ中心部に住むフランス人のマチルドさんも自宅を貸そうと考えています。
自宅貸し出しを検討中 マチルドさん「ここはリビングダイニングです。家族の時間を過ごしたり、おしゃべりしたりできます」「コーヒーマシンや調味料は全て置いていきます。大事なのは、ここで自宅のように過ごせること」
最大6人が宿泊できるこの物件。1泊の料金は、約15万円です。スケートボードなどの競技が行われる世界遺産のコンコルド広場まで2キロほどと近く、周辺の相場に合わせて金額を決めたといいます。今回、初めて家を貸そうと考えたのには、こんなワケがありました。
マチルドさん「小さい赤ちゃんと一緒だと大変。大変な混雑を考え、オリンピックは十分に楽しめないと判断しました」
生後11か月の娘と暮らしているマチルドさん。懸念していたのは「交通の混雑」です。
今回のオリンピックは、パリ市内の観光地周辺でいくつもの競技が行われます。すでに、オリンピック関連の工事によって渋滞が起きているところもありました。
さらに、開会式が行われるセーヌ川周辺では、テロ対策として、数日前から一般車両は広い範囲で通行止めになる予定です。
フランス政府は「備えが大事。五輪は交通に影響を与えます」と呼びかけています。これには、パリ市民も「大勢の人々でごった返すのは事実」「パリから脱出します」などと話していました。
市民たちが家を貸す動きが広がり、民泊の供給は約2倍に急増しました。家を貸した経験があるエリザベットさんも、民泊に出すことにしています。
自宅貸し出しを希望 エリザベットさん「アクセスがいいので『オリンピックが見たい』というご家族の役に立ちたいです」
1週間で料金は約21万円ですが、問い合わせがないため当初の(1週間)32万円から大きく値下げをしました。
宿泊費は、今年初めから4月にかけて21%も下落しています。フランスメディアによると、通常、夏の外国人観光客は全体の2割あまりですが、オリンピック期間中は、その半分程度にとどまる見通しとなっています。
ネックは高い滞在費用。ホテルの予約率は6~7割にとどまっています。
エリザベットさん「(Q.オリンピックがなかったら、もっと簡単に貸せましたか?)いい質問ですね。分かりません。来年、もう一度試してみます」
不便な生活を抜け出したい市民と、高すぎる宿泊費で見に来られない観光客。それぞれのニーズを満たす解決方法は見つかるのでしょうか。