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IOC「女性として生まれ、生きてきた」…正当性を強調 女子ボクシング「男性の染色体を持つ」選手

2024年8月3日 7:30
IOC「女性として生まれ、生きてきた」…正当性を強調 女子ボクシング「男性の染色体を持つ」選手

性別をめぐって出場の是非が議論となっているパリオリンピック・ボクシング女子の選手について、IOCは「女性として生まれ、女性として生きてきた」と出場の正当性を強調しました。

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日本時間2日午後10時半すぎに行われたボクシング女子57キロ級の試合。台湾の林選手がウズベキスタンのシトラ・トゥルディベコワ選手を相手に判定勝ちを収めました。

林選手は去年の世界選手権で1度は銅メダルを手にしましたが、「女子選手としての資格がない」とされ、メダルを剥奪された選手です。

勝利後、インタビューをすべく記者が待っていましたが…

記者
「どちらの選手もインタビューを拒否したということです」

主催者側も理由がわからないと話し、異例のことだということです。

もう1人、性別をめぐって議論になっているのが、1日に行われた女子66キロ級でイタリアの選手と対戦したアルジェリアのエイマヌン・ハリフ選手(25)です。

するどい攻撃を重ねるハリフ選手。開始から46秒、戦いは思わぬ形で決着しました。

記者
「どうしたんでしょうか、相手選手が試合を中断しました」

ハリフ選手の強烈なパンチを受けたイタリアのアンジェラ・カリーニ選手が鼻の痛みを訴え途中棄権。ハリフ選手が勝ち進みました。

ハリフ選手は女性選手として東京オリンピックにも出場。5位入賞を果たしましたが、去年の世界選手権では林選手と同様、失格になっていました。「男性の染色体を持つ」とされ、性別検査で不合格とされました。

しかし、その判断をしたIBA(=国際ボクシング協会)は去年、ガバナンスの問題でボクシング統括団体としての地位を剥奪され、パリオリンピックではIOC(=国際オリンピック委員会)が競技を統括することになっていました。

IOCの声明
「この2人のアスリートは、IBAによる突然の恣意(しい)的な決定の犠牲者でした」

IOCはハリフ選手と林選手の出場を認めた理由として、パスポート上では「女性」で、これまでも競技に参加してきたことをあげました。

エイマヌン・ハリフ選手
「アルジェリアのためにメダル獲得をしたいと思います。アルジェリア万歳」

ハリフ選手の出場について問われたカリーニ選手は、AP通信によると「(出場を認めた)IOCの決定を尊重します」と話したということです。

ただ、イタリアのメローニ首相はハリフ選手の出場に“異議”。「男性遺伝子の特徴を持つ選手は、女子の試合に参加させるべきではない」と述べたということです。

一方、アルジェリアオリンピック委員会は、ハリフ選手に対する批判を「悪意ある攻撃」だとして非難。「私たちの優れたアスリートに対する悪意ある非倫理的な攻撃を可能な限り強い言葉で非難します」としています。

2日に行われた会見でIOCはハリフ選手について…

IOCの会見
「女性として生まれ、女性として登録されており、女性として人生を送ってきた。トランスジェンダーではない」

選手の出場資格をめぐる議論。スポーツとジェンダーに詳しい専門家は…

スポーツとジェンダーに詳しい 中京大学スポーツ科学部 來田享子教授
「(今回は)IOCがボクシング競技の運営を担っている。その中で定めたルールにのっとって(ハリフ選手は)出場資格があると認められている。これが厳然とした事実。ルール違反をして出たわけではないということははっきりしています」

ハリフ選手が“男性のXY染色体を持つ”とされたことについては…

スポーツとジェンダーに詳しい 中京大学スポーツ科学部 來田享子教授
「すべての人がXX・XY(染色体)に区別されるわけではない。性に関する(体の)発達もいろんな人がいることが今の医学でわかっていて、その多様性がスポーツに影響を与えるかといわれれば、与えるタイプもあるし、与えないタイプもある。公平というのがなにかは事実に基づいて考えないといけない」

「性別について推察で議論することは人権侵害につながりかねない」と警鐘を鳴らしました。

ハリフ選手は日本時間の4日、準々決勝に出場する予定です。

(8月2日放送『news zero』より)