北朝鮮のミサイル発射“今年23回目” 「軍事境界線」にある変化が…窓からじっとこちらを見る人物も
4日朝、北朝鮮のミサイルが日本の上空を通過しました。北朝鮮のミサイル発射は今年に入り23回目です。高まる軍事的な挑発の中、NNNは4日、韓国と北朝鮮の軍事境界線・板門店(パンムンジョム)を取材。そこで、北朝鮮の“ある変化”をとらえることができました。取材を警戒してか、窓からじっと見てくる人の姿も…。
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北朝鮮は今年に入り、23回もミサイルを発射しています。
今年3月には、まるで映画のワンシーンのような壮大な演出の映像で、新型ICBM(=大陸間弾道ミサイル)「火星17」をアピールしました。
今年4月には、長年、北朝鮮の重大ニュースを伝えてきた朝鮮中央テレビアナウンサーのアナウンサー、リ・チュンヒ氏に金正恩(キム・ジョンウン)総書記が豪邸をプレゼントし、2人が手をつないで豪邸の中を歩く様子が報じられていました。
4月の軍事パレードの後、北朝鮮で最大で1日あたり39万人が発熱するほど新型コロナウイルスがまん延すると、金総書記はタバコ片手にいら立ちを見せ、机をコツコツと指でたたき、幹部を激しく叱責する様子が報じられました。ただ、初めて北朝鮮国内での新型コロナの感染を認めたその日にもミサイルを発射するなど、軍事行動はおさまらず…。
9月9日には金委員長が北朝鮮の国会にあたる「最高人民会議」で「我々は絶対、核を放棄できない」と演説し、核兵器の使用条件などを定めた法令を採択しました。
ちなみに、金総書記の体重は、140キロあったとされた3年前の2019年と比べ、2021年には20キロ減ったとされていましたが――今年9月の時点で再び140キロに“リバウンド”したとの分析もされています。
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北朝鮮が9月25日からの10日間で5回という異例のペースでミサイルの発射を続ける中、NNNは4日、南北の軍事境界線・板門店の取材ツアーに参加しました。そこで、北朝鮮の“ある変化”をとらえることができました。
原田敦史支局長
「こちら窓の外、北朝鮮側なんですが、北朝鮮側はたくさん草が生えて…ひとけがしばらくないことがわかりますね」
板門店では韓国側は多くの兵士が警戒にあたっていますが、北朝鮮側では新型コロナウイルスの流行後から、兵士が外に出ることがほとんどなくなったといいます。
ただ…北朝鮮側の建物の窓から、双眼鏡でじっとこちらを見る人物がいました。
原田敦史支局長
「あ! 上、のぞいているね。3階、一番左!」
「あー、双眼鏡で今、(北朝鮮側の建物の)3階から、こちらの様子を見ている…兵士ですかね」
そして時折、何かをメモするようなしぐさをしていて、取材を警戒する様子がみられました。
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北朝鮮と国境を接する中国・丹東からも北朝鮮の様子を見てみると…“コロナ撲滅宣言”後もマスクを着けて生活する人々の姿が見られました。
森本隼裕記者
「(北朝鮮側で)2人、歩いていますけど…マスクをしていますね」
「国境警備の兵士がいますね。あ、マスクをしています」
ミサイル発射を受けても、特段、変わった様子はみられませんでした。
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今回のミサイル発射は、米韓や日米韓による合同訓練などへ反発によるものとみられています。日本とアメリカと韓国の3か国は、さっそく“対抗措置”を実施しました。
4日夕方に、韓国軍とアメリカ軍の合同訓練が行われました。戦闘機から「精密誘導爆弾」が放たれ、標的に命中する様子も公開されました。日本の航空自衛隊8機も、アメリカ群と共同訓練を実施しています。
高まる北朝鮮の軍事的な挑発。金総書記の“頭の中”には今、何が描かれているのでしょうか。
(10月4日放送『news zero』より)