【解説】どこまで進んでいる?北の核技術
3日、北朝鮮は6度目となる核実験を行った。ICBM=大陸間弾道ミサイルに搭載する水爆の実験だったとしている。ミサイル発射を繰り返し核実験も強行。その技術はどこまで進化しているのか。
■「北の核実験」これまで
北朝鮮が最初に核実験を行ったのは金正日総書記の時で、2006年10月。防衛省によると、爆発威力は高性能火薬に換算して0.5~1キロトンで、初めて地下での核実験に成功したと主張した。
その後、回数を重ねていくごとに爆発威力も大きくなっていった。2016年1月に行われた4回目の核実験では、原爆よりも威力が強い水爆の実験に初めて成功したと主張。去年9月には、核弾頭の爆発実験に成功したと主張してきた。
そして今回、爆発威力は前回の実験の約6倍にもなる70キロトンとされ、ICBM搭載用の水爆実験に成功したと主張している。
■北の核技術は進歩している?
今回の核実験のポイントは、北朝鮮が主張しているように「本当に水爆の実験に成功」したといえるのかどうか、さらには、ICBMに搭載できるほどの「小型化に成功」したのかどうか、という点にある。
小野寺防衛相は、いずれも否定できないとして分析を続けるとしているが、専門家は北朝鮮が水爆を手にした可能性を指摘している。
原子核工学に詳しい東京工業大学の澤田助教は、「北朝鮮の核ミサイル開発は技術的に完了段階。量産体制に入るのは時間の問題」と指摘。また、北朝鮮問題に詳しい武貞氏は「アメリカ・ロシアなどがやってきた『教科書通りの開発プロセス』を短期間でやっている」と指摘している。
つまり、いろんな国から技術を吸収しながら、急ピッチで水爆実験を成功させ小型化までいたったのではないかということだ。
■電磁パルス攻撃とは
さらに、3日の北朝鮮の労働新聞では、「強力な電磁パルス攻撃まで加えることができる多機能化された核弾頭」だと主張し、その成果もアピールしていた。
核兵器を地上から数十キロという上空で爆発させると、人は熱も爆風も感じないが、約数百キロにわたって強力な電磁波が降り注ぐ。この電磁波が大規模な停電を発生させたり、電子機器や通信機器などにダメージを与えたりして都市機能をマヒさせる。これが電磁パルス攻撃だ。
日本の防衛省関係者は「本当に電磁パルス攻撃をされたら影響は計り知れない」としつつも、「北朝鮮が攻撃能力を保有しているのか分析が必要」だとしている。
■国際社会の対応は…
日本時間の4日夜、国連の安全保障理事会の緊急会合が開かれる。ここで日本やアメリカは、より強力な制裁を求めるとみられていて、これまでこだわってきた石油の輸出禁止を改めて提起する可能性がある。
■カギを握る「中国・ロシア」
今回の核実験により、北朝鮮は、“核は手放さない”という姿勢を鮮明にした。中国・ロシアは、ミサイル発射を受けての経済制裁にも慎重な立場だったが、一方で核開発には、一貫して強く反対する姿勢を示してきた。
もう1段階上の強い経済制裁の実施に、中国・ロシアがどう向き合うのかが今後の焦点になりそうだ。