「彼らを帰らせろ」──決裂会談から3日、米が軍事支援「一時停止」の圧力 トランプ氏の軟化に必要な“3つの条件”
アメリカのトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談が決裂してから3日。トランプ氏が、軍事支援の「一時停止」を指示しました。ウクライナは今後どうなるのか、トランプ氏の態度を軟化させることはできるのか。専門家に聞きました。
藤井貴彦キャスター
「会談の中でゼレンスキー大統領は、『プーチンが停戦を破り、ウクライナ国民を殺したんだ』と話しました。一方のトランプ大統領は『あなたはアメリカに感謝すべきだ』とコメントしました」
「このように激しい口論となった首脳会談の後、トランプ氏が『彼らを帰らせろ』と言ってホワイトハウスから追い出したと、最側近のバンス副大統領が明らかにしました。この決裂から3日。トランプ氏はウクライナへの全ての軍事支援の一時停止を指示しました」
「ウクライナの生命線とも言えるアメリカの支援ですが、今後どうなってしまうのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「現地メディアのブルームバーグによると、一時停止となるのは、現在ウクライナへ輸送中の兵器も対象だということです。あくまでも『一時停止』としているため、アメリカが進めたい停戦交渉にウクライナを引き出すための圧力だと考えられます」
藤井キャスター
「葵さんも、(両国)トップの会談での口論を見たと思いますが…」
葵わかなさん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「先週はフランスのマクロン大統領が、トランプ氏の発言を訂正する場面がありました。今回はゼレンスキー氏との激しいやり取りが行われ、正直とても驚きました。トランプ氏の一挙手一投足で、これだけ影響があるのですね」
藤井キャスター
「アメリカの軍事支援がもし途絶えた場合、ウクライナは持ちこたえることができるのでしょうか?」
小栗委員長
「外交や安全保障に詳しい、笹川平和財団上席フェローの小原凡司さんに聞きました」
「アメリカは砲弾やミサイルを含む約10兆円の軍事支援を行ってきたので、アメリカの支援がなくなり、ウクライナが今の戦い方を続けるとすると、数か月しかもたない可能性があるということです」
藤井キャスター
「そうなると、ゼレンスキー氏はどうすればいいのでしょうか?」
小栗委員長
「アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授に、どうしたらトランプ氏の態度を軟化させることができるか聞きました。3つの条件があるということです」
「1つ目は、ゼレンスキー氏が公式に謝罪すること。2つ目は、ウクライナのレアアースなどアメリカが求める鉱物資源の協定に署名すること。3つ目は、その上で(ロシアの)プーチン大統領との停戦交渉に前向きな姿勢を示すことだといいます」
「どれもウクライナにとって大変厳しい条件だと言わざるを得ませんが、ではゼレンスキー氏はどうするのか」
小栗委員長
「ウクライナの日本大使館で去年10月まで大使を務めていた松田邦紀さんに聞きました。ゼレンスキー氏はこれまでのアメリカの支援に感謝しているし、イギリスやフランスなどの首脳は間に入ってトランプ氏とコミュニケーションを取ろうとしているといいます」
「その上で謝罪するのかどうかとなると、それぞれの指導者のメンツや国内の反応などが絡むので、ここは当事者に任せて見守るしかないということでした」
藤井キャスター
「一方で、日本にできることはあるのでしょうか?」
小栗委員長
「ある日本の外交関係者は、『公の場で正論を言って外交するのは一見格好よく見えるが、必ずしも日本にとって得策ではない。上手に相手を選んで言うべきことはこれまでも言ってきたし、これからも言っていく』と話していました」
「また小谷教授も、日本がやれることがあるとすれば『安倍元首相でもプーチン氏と行った平和条約の交渉がうまくいかなかったことをトランプ氏側に説明し、“プーチン氏とは慎重に交渉を進めるべきだ”と、非公式な形で伝達することだ』と話しています」
(3月4日『news zero』より)