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笑顔の金委員長…写真で見る破格歓待のワケ

2018年3月6日 19:46

5日に北朝鮮で行われた金正恩委員長と韓国の特使団との会談について、6日、その様子が明らかになった。夕食会も含め、4時間以上に及んだ今回の会談。金委員長は韓国の文在寅大統領からの親書を受け取り、南北首脳会談に関して満足できる合意をしたという。異例とも言える歓待ぶりの裏には何があるのだろうか―。「news every.」小西美穂キャスターが解説する。

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◆公開された写真から読み取れることは?

6日朝、北朝鮮が公開した今回の会談の写真の中には、金委員長が歯を見せて笑っているものが何枚もある。金委員長本人が外国の要人に会うことはめったにないため、こうして本人が会談しただけでもかなり特別だが、さらに笑顔も見せている。

金委員長が手に持っている文大統領からの親書に何が書かれているのかはわからないが、本人に直々に手渡された。金委員長の隣には金委員長の実の妹・与正氏がいる。与正氏は平昌オリンピックで韓国を訪れ、文大統領と会談したことも記憶に新しいが、改めて与正氏がキーパーソンであることも印象づけられた。

さらに、会談が行われた場所も特別だった。会談は、これまで韓国側が足を踏み入れたことがない「朝鮮労働党本部」で行われた。日本で言えば官邸のような場所で、政権の中枢に入るのを許したという意味でも、北朝鮮側の特別な歓待ぶりがわかる。

そして夕食会では、金委員長の隣にピンクのジャケットを着た妻・李雪主夫人も同席している。近くには与正氏もいて、家族ぐるみで迎えたことがわかる。こうして金委員長が家族ぐるみで特使団を迎えるのは、北朝鮮としては珍しい“破格の歓待”だった。テーブルの上を見ると、ワイングラスのようなものと瓶もあることから、お酒を飲んだのかもしれない。会談と夕食会は4時間以上続いたそうだ。

◆気になる会談の内容は?

北朝鮮側は金委員長が「南北首脳会談に関して満足できる合意をした」としている。与正氏がオリンピックで韓国に行ったときに南北首脳会談をしたいと伝えていた。

一方の韓国側は大統領府関係者が「成果があり、失望するものではない」と述べている。

具体的にはわからないが、双方の答えを見ると何かしら前向きな成果があったとみられる。

今回、和やかな会談だったが、実はそれぞれに思惑がある。

韓国側の思惑は「軍事的緊張の逆戻りは嫌だ」ということ。平昌オリンピック・パラリンピックの期間は対話ムードが続くとされているが、パラリンピックの後には米韓合同軍事演習が予定されている。これに北朝鮮が反発して軍事的な緊張が逆戻りするのは避けたい。対話ムードがあるうちに北朝鮮を説得して、非核化への対話へつなげたい考え。

一方の北朝鮮側は、そういう対話路線に傾いている韓国を取り込んでアメリカと対話したい。それも、核を認めさせる、自分たちに有利な対話にしたい、というもの。

それぞれの思惑通りに進んでいくのかどうかはわからないが、ある防衛省幹部は「北朝鮮は数か月以内にアメリカ本土に届く核ミサイルを完成する」と話している。つまり、こうして北朝鮮は対話をちらつかせている時間を、核ミサイルを完成させるまでの時間稼ぎに利用しているという見方もある。というのも、非核化するという本質的な話は、この間、一切前に進んでいないためだ。

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平壌から帰国した韓国の特使が記者会見を行う予定だが、金委員長がどんな意向を示したのか、そして、トランプ大統領がそれにどう反応するのか、この2点が注目される。