日本より3学年早い!?台湾キッズ英語教育
“小学校の英語教育”を日本より早く実施している台湾を取材した。小学校での英語教育が本格化する日本が、台湾の子どもたちから何を学べるのだろうか。
今回訪れたのは、台湾北部に位置する台北市。すでに真夏のような気温で、街は熱気に包まれていた。その台湾で、子どもたちがどのように英語を勉強しているのか――英語教育に力を入れている公立小学校を訪ねた。
登校時、生徒たちはバイクに乗せられてくることが多い。台湾では、子どもの送迎はごく普通のことで、バイクで送り届けてから出勤する親が多いのだそうだ。
台湾では小学1年生から英語の授業を行っている。今回、取材したのは2年生のクラスだ。この日の授業は、「Do you like~?」という文法だった。
日本の文部科学省によると、「Do you like~?」という文法は、日本ではだいたい小学校5年生の9週目あたりに行うので、台湾は日本より英語教育が3学年進んでいるということだ。生徒の発言と先生の答えなど、授業はすべて英語で行われる。
生徒に英語を好きか聞いてみると、好きだという答えが返ってきた。理由も様々で、「どこに行っても使えるから」「外国人とコミュニケーションをとれるから」といった声があがった。
英語を教える時に、どんなことに気をつけているか先生に尋ねると、「まずはリラックスできる環境で学ばせること。ミスを恐れず間違っても構わない。間違ったら訂正すればいいんですから」と話してくれた。
学校以外でも英語を勉強する生徒がほとんどだ。夜、生徒のひとりの自宅を訪ねた。名前はガスパール君。キャラクター“リサとガスパール”からとった英語名なのだそうだ。普段は携帯で動画を見るのが大好きな男の子だが、母親は海外に行ってから英語を学ぶのでは遅いと考え、必死に英語を勉強させている。
母親は妊娠中から海外のドラマなど、いろんな英語の映像を見ていたという。バイリンガル教育は、子どもが生まれる前から意識する親も台湾には多いそうだ。
一方、台北市内にある英語専門の学習塾では、ネイティブの先生による長文読解の授業が行われていた。テキストを見せてもらうと、ずらりと長文が書かれていた。小学校との大きな違いは、学年別にクラス分けしているのではないということだ。塾長はこう話す。
「子どもに合った学習内容を用意し、いくつかのレベルを設定しています」
クラスのレベルは全部で10種類。例えば、公立小学校の2年生で習う「Do you like~?」の文法は、この塾では下から2番目のクラスに相当するそうだが、取材したクラスは7番目のレベルにあたる。
そんなクラスに、なんと小学校2年生の姿もあった。2歳の時に英語を習い始めたというロン君は、ふいに出る英語がナチュラルだ。母親に、台湾は子どもに英語を勉強させるのに適した環境かを尋ねると、「選択肢がいっぱいあるので、いい環境だと思います。調べれば、各年齢層向けの塾がいっぱいありますから」と答えてくれた。
最後に、小学校のクラスの生徒たちに将来の夢を聞いた。
「英語の先生になりたい」
「海外旅行に行きたい」
「各国に行ってポケモンゲットしたい!」
「CAになりたい!」
みんな、世界に目を向けた夢ばかりだ。