異例の事態…APEC首脳宣言発表を見送り
パプアニューギニアで開かれていたAPEC(=アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議は、首脳宣言の発表が見送られる異例の事態となった。現地から横田明記者が伝える。
参加国のアメリカと中国との主張が対立する中、APEC史上初めて首脳宣言が見送られる異例の事態となった。
首脳宣言の採択が見送られるのは、1993年に第1回の首脳会議が開かれて以来、初めてのこと。議長国・パプアニューギニアのオニール首相は「合意に至らなかった議論はいくつかある」と明かした。また、「世界中が米中の貿易論争を懸念している」と述べ、アメリカと中国の対立が今回の事態を招いたと示唆した。
米中は首脳会議の前から、貿易問題や中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」などをめぐって、大きく主張に隔たりがあった。ほかの参加国は難しい対応を迫られ、異例の首脳宣言断念に追い込まれたものとみられる。今後、議長国のパプアニューギニアが代わりに議長声明を発表するとしている。
米中の首脳は来週、アルゼンチンで行われるG20の場で首脳会談を行う予定で、ここで問題収束へ向かう議論ができるのかが注目される。