史上初の異例事態 APEC首脳宣言見送り
パプアニューギニアで開かれていたAPEC(=アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議は、史上初めて首脳宣言の発表が見送られる異例の事態となった。
APECで首脳宣言の採択が見送られるのは、1993年に第1回の会議が開かれて以来、初めてのこと。
議長国のパプアニューギニアが、代わりに議長声明を発表することになったが、参加国のカナダのトルドー首相は、具体的な国名こそ挙げなかったものの、アメリカと中国の対立が今回の事態を招いたと示唆した。
カナダ・トルドー首相「貿易の特定の分野について異なる見方があり、それが首脳宣言の採択を妨げた」
米中は、首脳会議の前から貿易問題や中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」などをめぐって批判の応酬を繰り広げ、主張に大きな隔たりがあった。
このため、ほかの参加国は難しい対応を迫られ、異例の首脳宣言の断念に追い込まれたものとみられる。
また、オーストラリアメディアなどは、パプアニューギアの外務・貿易相の執務室に、中国政府の関係者が強引に入り、首脳宣言の文言の変更を迫ったと伝えている。
中国側は「事実ではない」と否定しているが、首脳宣言をめぐり、水面下で激しいやりとりがあったことがうかがえる。
米中の首脳は、来週、アルゼンチンで行われるG20の場で、首脳会談を行う予定で、ここで問題終結に向けた議論ができるのかが注目される。