ロシア史研究者14人が「日中印で停戦仲介を」と訴え 駐日ロシア大使とも面談
ロシアのウクライナ侵攻が続く中、日本のロシア史研究者ら14人が緊急声明を発表しました。声明には「戦争を直ちに終わらせなければならない。停戦交渉を仲介するのは日本、中国、インドが望ましい」と書かれ、外務省とロシア大使館に手渡されたといいます。
■ロシア史研究者らの「緊急声明」とは
ロシア史を研究する和田春樹東大名誉教授ら14人は、15日にオンラインで議論した上で、「憂慮する日本の歴史家の訴え」と題した緊急声明を発表しました。
声明には「即時停戦、停戦交渉をはじめよ」と訴え、「停戦交渉を仲介するのは、ロシアのアジア側の隣国、日本、中国、インドが望ましい」とし、日本政府に行動を呼び掛けました。
また、「日本は過去130年間にロシアと4回も深刻な戦争を行った国である」(原文ママ)と記され、和田名誉教授は「日ロ間には戦争と交渉を繰り返したプロセスがある。日本はこの経験をいかして仲裁者として介入するのにふさわしい存在である」と主張しました。
■緊急声明は外務省とロシア大使館に手渡された
記者会見ではこのような質問がされました。
ーー現在の日中関係や、中印間の国境をめぐる紛争などを考えると、日本がイニシアチブを取って働き掛けるのは非現実的ではないか?
和田名誉教授
「トルコなどがすでに仲裁の行動をしているが、まだ結果が出ていない。そこでロシアの東と南の隣国も行動して、停戦に貢献すべきだと思う」
「中印の関係がよくないが、対立があるからこそ、一緒になって努力すれば、将来の良好な関係につながるのではないか」
和田名誉教授はこのように語り、3国が協力して停戦を呼びかける意義を強調しました。
緊急声明は、16日に外務省に手渡されました。また24日にはガルージン駐日ロシア大使との面会を経て、モスクワ側に伝達されるということです。
研究者らは近く、中国大使館とインド大使館にも「緊急声明」を手渡すことを予定しています。