尹錫悦大統領 弾劾案“可決”なら職務停止に…与党代表が退陣を要求
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の「非常戒厳」宣言をめぐり、混乱が広がっています。6日、これまで大統領の弾劾に反対していた与党代表が一転、尹大統領の退陣を求めました。7日、弾劾案が可決されれば、大統領の職務が停止されることになります。
◇
6日も、韓国・ソウルの国会議事堂周辺に多くの人々が集まりました。
「尹錫悦は退陣しろ!」
「退陣しろ!退陣しろ!」
7日の夜には、尹錫悦大統領の弾劾訴追案の採決が予定されていますが、混乱が続く中、“再び尹大統領が戒厳令に踏み切るのでは”との指摘も出ています。
最大野党「共に民主党」代表
「今夜(6日)は非常に危険なんだ。(再び戒厳令を出せる)時間は、今夜と明日(7日)の朝だけだからだ」
3日、尹大統領が44年ぶりとなる「非常戒厳」を宣言して以降、尹大統領の辞任を求める声は高まり、最新の世論調査では支持率が16%と就任以来最低になりました。(韓国ギャラップ・6日)
◇
そもそもなぜ、「非常戒厳」は突然、出されたのか?
その理由について、今年4月に与党が大敗した選挙の“不正選挙疑惑に関する調査をするか判断するため”だと、金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相が話していることが6日、明らかになりました。(韓国メディアによる)
実は、軍と国民が国会で衝突していた時、全く別の場所にも軍の部隊が。国会から約13キロ離れた中央選挙管理委員会です。国会突入と同時刻、軍はここを3時間20分ほどにわたって占拠。この他、選挙に関する施設2か所も占拠し、国会突入よりも多い300人近くの隊員を投入、選挙の不正に関する調査を行ったと伝えられています。その際、軍が夜間の当直など5人から携帯電話を押収したということです。(選挙管理委員会による)
与党はこれまで、尹大統領の退陣には反対の姿勢を示していましたが6日、一転。
与党「国民の力」代表
「大韓民国と国民を守るために、尹錫悦大統領の早急な職務停止が必要だと判断する」
与党の代表が、尹大統領の退陣を要求。その理由については…
与党「国民の力」代表
「戒厳令を出した当日、尹大統領は主要な政治家らを、反国家勢力という理由で逮捕しようとした」
戒厳令に乗じて尹大統領が、国会議員らを逮捕しようとしていて、自身も、その対象だったというのです。尹大統領自身は否定しているといいますが、与党内には弾劾に賛成する意向の議員も出ています。
与党「国民の力」議員
「私は明日(7日)の採決前までに尹大統領が退陣計画を表明することを願います。そうでない場合、私は弾劾訴追案に賛成せざるを得ない」
弾劾訴追案の可決には野党議員以外に、少なくとも8人の賛成が必要ですが、こうした状況を受け野党は、7日夜に予定していた採決の時間を早めることも検討しています。
このような中、6日、韓国の最高検察庁は尹大統領による「非常戒厳」について捜査するため、特別捜査本部を設置すると発表。
尹大統領と、今回の戒厳を提案したと指摘される金龍顕前国防相は国家の秩序を乱したとして、野党側に「内乱罪」で告発されています。
「内乱罪」とはどういったものなのか、専門家に聞きました。
韓国政治が専門 慶応義塾大学・西野純也教授
「韓国の領土あるいは主権を侵害する行為や、憲法秩序を乱すような行為に対する規定。やはり内乱罪というのは非常に重大な罪であるがゆえに、大統領が現職でも適用される」
一方、弾劾訴追案が可決され、尹大統領が退陣に追い込まれる可能性については…
韓国政治が専門 慶応義塾大学・西野純也教授
「与党の議員は、大統領が罷免ということになれば、次の大統領選挙で野党に政権がわたる可能性が非常に高いとの考え。それは避けたいという意味で、反対する可能性もあると思う。しかしながら今の韓国内の雰囲気、とてもではないが尹政権が任期を全うできる状況にはないので、いずれかの段階で訴追案が可決される可能性が高いと思う」
(12月6日放送『news zero』より)