韓国で“日本政府に”初の賠償命令 今後は
韓国で、元慰安婦の女性らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた裁判で、8日、韓国の裁判所は初めて日本政府への賠償を命じる判決を言い渡しました。ソウルから原田敦史記者が伝えます。
判決後、日本の外交当局者からは「国内世論のために2国間の関係を破壊する判決だ」と厳しい受け止めが出ています。
元慰安婦の女性ら12人が日本政府に賠償を求めたこの裁判の最大の争点は、国際法上、外国政府が他国の裁判で被告にはならないとする「主権免除」という原則でした。日本側はこの原則から訴えは却下されるべきとの立場で、一度も出廷していません。
ただ、韓国の裁判所はこの主権免除について「反人道的な犯罪行為で適用されない」と判断し、日本政府に1億1000万円あまりの賠償を命じたのです。
この判決は今後の日韓関係にも重大な影響を及ぼします。
そもそも、韓国の裁判所が「日本政府に」賠償を命じたのはこれが初めてで、判決が確定すれば日本大使館の敷地など国有財産が差し押さえられる可能性もあるのです。
いわゆる元徴用工訴訟などで日韓関係が膠着(こうちゃく)する中、文在寅政権は去年秋以降、関係改善を模索してきました。ただ、“司法の独立性”を重視して身動きが取れなくなっていたところで司法からさらなる難題を突きつけられた形で、日韓関係の先行きはまったく見通せなくなっています。