“戦うリーダー像”アピールか…大統領選への影響は? トランプ氏暗殺未遂事件
日本時間14日朝、アメリカのトランプ前大統領が演説中に銃撃される暗殺未遂事件が起きました。この事件が大統領選挙に与える影響について、ワシントン支局から山崎大輔記者の報告です。
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トランプ氏は暗殺未遂事件を11月の大統領選に向けて自らの求心力を高めるアピールに使うものとみられます。
トランプ氏は銃撃後、拳を突き上げ、アメリカメディアによると、支持者に「戦え」と叫びました。
アメリカメディアが注目しているのは1枚の写真です。「敵から攻撃を受けて戦うというイメージは今後さらに定着する」「トランプ氏の象徴的な写真になり、歴史に刻まれるだろう」などと伝えています。
日本時間16日からは、トランプ氏が大統領候補に正式に指名される党大会が始まります。トランプ氏は出席する意向で、戦うリーダー像をアピールするとみられます。
共和党内の反トランプ派は声を上げにくくなり、トランプ氏の下で結束するというムードがさらに強まるとみられます。
――Q.バイデン大統領にとってはどのような影響あると考えられるのでしょうか?
事件により、トランプ氏への個人的な攻撃をしにくい状況となったと言えます。
バイデン大統領は前回の大統領選の敗北を認めないトランプ氏を「民主主義の脅威」と位置づけ、今回の選挙戦を「民主主義を守る戦い」と訴えてきました。
銃撃後、副大統領の有力候補である共和党のバンス上院議員はSNSで「トランプ氏は独裁者であり、いかなる犠牲を払ってでも止めなければならないというバイデン陣営の主張が暗殺未遂事件につながった」と非難しました。
アメリカメディアによりますと、バイデン陣営はトランプ氏を批判しているテレビ広告をできるだけ早く差し止めるよう動いているということです。
一方で、選挙戦からの撤退圧力が強まっているバイデン大統領にとっては、世間の関心が事件に向かうことでバイデンおろしの声が弱まるというプラスの側面もあります。
――Q.今回の事件、アメリカメディアはどう報じられているのでしょうか?
さらに政治的な分断が深刻化するのではないかという懸念が高まっています。
アメリカメディアは「政治的な分断が暴力につながる懸念に拍車がかかる可能性がある」と指摘しています。また、「政治指導者自身が政治的分断をあおり、今回の事件の火種を作ったのか」と疑問も投げかけています。
事件により、トランプ氏の支持者は結束するものの、「深刻な二極化が進んでいて、大統領選の雰囲気が変化するかは分からない」といった指摘もあります。
(7月14日放送『真相報道バンキシャ!』より)