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韓国事故“密集”を検証――圧力実験で最大「270キロ」、3割超「呼吸困難」 立ったまま圧死も…波打つ揺れ 「群衆雪崩」も

2022年11月1日 10:51
韓国事故“密集”を検証――圧力実験で最大「270キロ」、3割超「呼吸困難」 立ったまま圧死も…波打つ揺れ 「群衆雪崩」も

韓国・ソウルの梨泰院(イテウォン)で150人以上が亡くなった雑踏事故。現場はどんな状況だったのでしょうか。当時の映像や、密集時の圧力を調べた実験などから検証します。事故防止には、どれだけ人が集まるのかについて事前の計画が重要といいます。

■身動き取れず…苦しそうにゆがむ顔

29日午後9時前、韓国・ソウルの梨泰院。事故発生の約1時間前の映像を見ると、現場近くは人が密集し、既に身動きが取れない状況になっていました。「なになになに」と声が上がります。押された女性の顔は、苦しそうにゆがんでいました。

多くの人が圧死したとみられる今回の事故。現場はどのような状況だったのでしょうか。

■圧力の実験で…3割超が「呼吸困難」

大阪工業大学・吉村英祐教授提供の映像では、密集した場合、人体にどのぐらいの圧力がかかるかの実験がなされています(2003年)。幅約1.3メートルの空間に28人が入り、壁を押しながら狭めていきます。

狭い空間で人がすし詰め状態になり、かなりの密となりました。1平方メートルあたり14人の密度に達すると、最大で270キロの圧力がかかりました。3割以上の人が「呼吸困難になった」と回答しています。

■危険な状況…群衆が大きく傾く映像も

梨泰院の映像を見ると、群衆が大きく傾く場面もありました。高い位置から撮影された映像でも、群衆が左右に揺れ動いているのが分かります。

群衆事故に詳しい東京大学・西成活裕教授によると、この波打つような揺れが、事故が起こりうる危険な状況の特徴で、こういった密集した状態では、立ったままで圧死する可能性もあるといいます。

■過去にも事故…明石では「群衆雪崩」

さらに、今回現場で起きていたとみられるのが、「群衆雪崩」です。西成教授によると、密集した状態で1人が倒れ込むなどすると、前後左右の人も支えがなくなり、連鎖的に倒れこんでいく現象のことです。

2001年には、花火大会の見物客が殺到した兵庫・明石市の歩道橋で事故が起きました。事故調査報告書によると、「群衆雪崩」が起きたとされ、胸部圧迫による窒息などで11人が亡くなっています(10歳未満9人、70歳以上2人)。

また2010年、東京・原宿の竹下通りで撮影された映像では、梨泰院と同じように大勢の人が集まり、波打つような揺れが起きているのが分かります。現場では「有名人が来ている」とのうわさが飛び交い、人が殺到したということです。

一度起きると防ぐのが難しいという群衆雪崩。専門家は、どれだけ人が集まるのか、あらかじめ計画を立てることが重要だと指摘しています。

(10月31日『news zero』より)