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イスラエル 地上侵攻へ予備役30万人招集 “報復”の空爆続くガザ地区…“完全封鎖”で人道上の危機

2023年10月12日 20:33

イスラエル軍は、イスラム組織「ハマス」が実効支配する「ガザ地区」への地上侵攻に向け、30万人を招集するなど本格的な準備を開始しました。一方、電気や食料の供給を遮断され、“完全封鎖”された「ガザ地区」では、水や食料が不足し、人道上の危機となっています。

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11日、ガザ地区からほど近いイスラエルの都市・アシュケロン。爆発音が聞こえるなか、住民が身をかがめていると、近くにイスラム組織「ハマス」が放ったロケット弾が着弾しました。ロケットは建物の壁を破壊。けが人はいないとみられます。

収まる兆しの見えない、イスラエルとハマスの衝突。

11日、イスラエルのネタニヤフ首相と野党党首は、ハマスとの戦いに集中するための挙国一致内閣の樹立で合意しました。

ハマスが実効支配するガザ地区周辺には、イスラエル軍が続々と集結していて、地上侵攻に向け、態勢が急ピッチで整いつつあります。過去最大規模の30万人もの予備役が招集されるなか、テルアビブのベングリオン国際空港には、祖国を守るため、海外から戻ってきた人の姿がありました。

軍に参加するため米国から帰国した女性
「母国に戻ることが、自らの義務だと感じました。あのようなことが起きて、他の場所にはいられません」

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NNN取材班がホテルに到着するやいなや、警報のサイレンが鳴り、人々が一斉に地下へ。ここで私たちが出会った家族は、ハマス戦闘員の襲撃を受けた街から避難してきたといいます。

襲撃を受けた街から避難してきた人
「トラウマです。みんなそうだと思いますが、誰もが、知り合いが死んだり、誘拐されたりしています」

イスラエル軍は11日、ハマス側と激しい戦闘が行われた「キブツ=生活共同体」を報道陣に公開しました。

袋に入れられたハマス戦闘員の遺体が、至る所に置かれていました。ハマス側の車両や弾薬、さらに、映像公開を意図していたのか、小型カメラも残されていました。

ハマスによる、市民を標的にした無差別の殺害。イスラエル側の死者は、1200人にのぼっています。(※ロイター通信による)

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イスラエルは報復として、連日、大規模な空爆を続けています。ハマスの拠点を標的にしているといいますが、ガザ地区では、これまでに1203人が死亡(※パレスチナ保健当局による)、約34万人が家を失うなど、住民への被害が拡大し続けています。

ガザ地区の病院には、多くの住民が身を寄せていました。

ガザ地区の住民
「安全な場所を目指していましたが、警告なく空爆されました。ネタニヤフ(首相)、我々が標的か? 我々は、けだものか?」

イスラエルが、ガザ地区への電気や食料の供給を遮断し、“完全封鎖”するなか、人道上の危機が発生しています。

アメリカのブリンケン国務長官は、日本時間12日からイスラエルを訪問。ガザ地区への支援物資の輸送や、住民避難のための「人道回廊」の設置について、イスラエル、エジプトと協議を行っているとしています。