“米中対立” アメリカが対中10%追加関税を発動…中国は報復措置発表
アメリカが中国からの輸入品に10%の追加関税を課す措置が4日に発効しました。すると中国も、すかさず報復措置を発表しました。米中対立の懸念が深まっています。
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大統領就任から、約2週間。
トランプ大統領(米・ワシントン、3日)
「(トランプ政権は)非常に有能な人たちに働いてもらっている」
大統領令にサインしながら、自慢げにつぶやくトランプ大統領。何事もアメリカファースト。そう掲げて始まった政権に、すでに世界が振り回されています。
まず、トランプ大統領がアメリカの安全のために必要だというのが、メキシコの国境などから国内に入ってきている不法移民を阻止すること。そして、合成麻薬「フェンタニル」を阻止することです。
「フェンタニル」は中国からカナダ・メキシコを経由して入ってきているとトランプ大統領は主張しています。これらを食い止めるため、トランプ大統領は4日からメキシコとカナダからの輸入品については25%の関税を課し、中国には関税を10%上乗せすると発表していました。
すると、その日を迎える直前に…
トランプ大統領(米・ワシントン、3日)
「メキシコと素晴らしい話ができた。彼らは兵士1万人を恒久的に国境に配備し、フェンタニル(合成麻薬)や不法移民のアメリカへの流入を止めることに合意した」
メキシコの大統領と話し、メキシコ側が国境に兵士を送ることで合意したため、関税の発動を1か月、先延ばしにすると発表。
さらに、カナダの首相とも話し合ったとして…
トランプ大統領(米・ワシントン、3日)
「カナダのトルドー首相とも話した。午前中はいい会話ができた」
こちらも協議を踏まえ、関税の発動を「30日間停止する」と表明しました。
カナダは薬物対策として、アメリカと合同で特殊部隊を立ちあげるなどの対策をとるといいます。
トランプ大統領
「カナダは非常に厳しい。彼らとビジネスをするのは非常に大変だ。アメリカを食い物にさせるわけにはいかない」
関税などの“脅し”によって、アメリカに有利な交渉を進める狙いがあるとみられるトランプ大統領。しかし、対照的だったのが中国です。メキシコ・カナダのような両国の協議は行われないまま、4日に10%の追加関税が発動しました。中国政府は、アメリカを批判しました。
中国政府
「世界貿易機関(=WTO)のルールの重大な違反であり、自国の問題解決に役立たないだけでなく、米中間の正常な経済貿易協力にも損害を与える」
報復措置も、早速発表。その一つとして狙いを定めたのが、グーグルです。独占禁止法違反の疑いがあるとして、グーグルの調査を行うと明らかにしました。さらに、アメリカからの石炭と液化天然ガスに15%、原油や一部の自動車などに10%の追加関税を課すことなど、報復措置を相次いで発表しています。
火蓋を切った“貿易戦争”。トランプ大統領は中国側と協議する意向を示していて、両国の駆け引きが続きそうです。