【開発】家族で"食事"楽しみたい!"摂食嚥下障がい"でも食べられるなめらかケーキ『every.特集』
都内で暮らす14歳の永峰楓音(ながみね・かのん)さんは、生まれてすぐに難病のてんかん「大田原(おおたはら)症候群」を発症。食べ物を咀嚼しうまく取り込んだり飲み込んだりできない「摂食嚥下障がい」があり、日々の食事は、母親の玲子さんが飲み込みやすくなるよう“加工”している。
ポテトサラダはとろみ剤を加えて細かく刻み、からあげはミキサーにかけてなめらかに……。家族で同じメニューだが、楓音さんの分は“見た目”が異なる。外食するときも充電式のミキサーを持参し、店内の状況を見ながら楓音さんの食事を“加工”。家族で一緒に“そのままの形”で食べることができない。
玲子さんは「みんなにとって見た目も美しくて味もおいしくて、一緒にいただきますをして食べられる空間づくりが理想」と話す。
こうした理想の空間づくりを目指し、玲子さんには仲間がいる。共同代表を務める、食事支援が必要な子どもを育てる親らのコミュニティー「スナック都ろ美」だ。現在、全国から500人以上が参加している。「スナック都ろ美」は、「みんなで食べられるメニューを増やそう」と掲げ、子どもも一緒に“そのまま”食べられるケーキの開発を始めた。
協力を依頼したのは、パティシエの志水香代さん。8年間「介護食」に携わり、飲み込みやすい“なめらか”なケーキを研究してきた。現在は、バリアフリーに配慮したカフェで店長を務める。
志水さんは親たちへヒアリング。そして導き出した目指すケーキのコンセプトは、「見た目の美しさ」「そのまま食べられるなめらかさ」、そして、「食感も楽しめる」ケーキだ。
1か月後、志水さんの元を訪ねた。そこには、ヒアリングで話題に出ていた「りんごあめ」のような見た目の試作品ケーキが。リンゴのソースを、クリームチーズとヨーグルトのムースが覆っているが、志水さんによると、楓音さんたちも“そのまま”食べられるようにするには、これらの“割合”に工夫が必要だという。中でもポイントとなるのが、飲み込みやすい“まとまり”を生み出す「ソースの量」で、何度も試作を重ねた。
さらに、こだわりの「食感を楽しめる」工夫については、 “パチパチ”するキャンディなど、さまざまな食感を試した結果、水分と混ざっても粘り気が出にくい米粉でクッキーを作り、ザラザラした食感を目指すことに。しかし口の中に残りやすいクッキーは「むせる」原因となるので、「こす」ことで咀嚼せずに飲み込める大きさにした。
クッキーとムースを、口の中で溶けたソースで“まとめる”ことができるよう試作を続けること4か月……。見た目もかわいいリンゴのなめらかケーキが完成した。そして、永峰さん親子がこのケーキが提供される志水さんのカフェを訪れた。二人はどんな反応を見せるだろうか。
※詳しくは動画をご覧ください。(2023年10月18日放送「news every.」より)