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“美容室が苦手”…発達障害のある子どもたちのために 髪を切る美容師の思いとは?

2024年2月23日 14:02
“美容室が苦手”…発達障害のある子どもたちのために 髪を切る美容師の思いとは?

“じっとしていることが苦手”“ハサミの音が怖い”発達障害のある子どもたちの中には、美容室が苦手な子が多くいます。こうした子どもたちに寄り添い、ヘアカットを続ける美容師の活動を取材しました。

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京都市伏見区で、美容室を営む赤松隆滋さん。カットしているのは、発達障害があり、言葉で意思を伝えることが苦手だという男の子です。

Peace of Hair 代表赤松 隆滋さん
「大丈夫? 大丈夫? 音嫌やな」

発達障害には、視覚や聴覚が過剰に反応する感覚過敏や、じっとすることが苦手な多動性障害など、様々な特性があります。そのため、美容室のようなドライヤーの大きな音や、動きに制限のあるところが苦手な子も多いそうです。

赤松さんは、こうした美容室が苦手とする子どもたちの髪を切ることを「スマイルカット」と名付け、積極的に活動しています。

Peace of Hair 代表 赤松 隆滋さん
「切り方以前のところが実は大事で、担当美容師との信頼関係をつくるところとか、ちょっとずつちょっとずつ慣れていくというふうにすればカットができるので、まずそこをすごく大事にする」

赤松さんがスマイルカットを始めたのは、2010年。音に敏感な発達障害のある男の子の髪を切ったことが、きっかけでした。

Peace of Hair 代表 赤松 隆滋さん
「バリカンを使っちゃったんです。産毛をキレイに処理したいとか、しょうもないプロ根性が出たがために子どもをパニックにしてしまって」

発達障害のある子どもたちへの配慮が欠けていたことを痛感し、「この子たちと真剣に向き合う」と心に誓ったそうです。試行錯誤を繰り返しながら、子どもたちの髪を切っていく内に口コミで広まり、今では1日に10人来客することもあると言います。

取材した日に両親と訪れたのは、4歳の女の子、蘭ちゃん。2度目の来店です。自閉症の蘭ちゃんは、見慣れない場所や人が苦手。まだ赤松さんの美容室に慣れていないため、この日は待合室で髪をカットすることに。

ここで、赤松さんの秘密道具が登場します。

Peace of Hair 代表 赤松 隆滋さん
「蘭ちゃんチョキチョキしようか。覚えている?」

様子を見ながら、イラストに描かれたカットの流れを、一つ一つ丁寧に説明します。

Peace of Hair 代表赤松 隆滋さん
「ハサミだよ。一本だけ切ろうか、いくよ、どう? 痛くないね」

安心したのか、少し笑顔を見せる蘭ちゃん。段々落ち着いてきて、スムーズに髪を切って行くことができました。

一人一人違う“苦手”を持った子どもたち。赤松さんは、どんなに小さな事でも無理強いはしません。“嫌がることはしない”という美容師への信頼が、“美容院は怖くない”という安心感につながるといいます。

蘭ちゃんの母
「ありがたいなと思います本当に」

スマイルカットの普及活動もしている赤松さん。今では全国80以上のお店で実施されています。また、こうした活動は美容師以外の職業にも広がってほしいと話します。

Peace of Hair 代表赤松 隆滋さん
「いろんな(業種の)プロたちが子どもたちに手を差し伸べられたら、この子たちの未来ってもっともっとキラキラ輝くものになると思っている。そこを目指しています」

赤松さんは、きょうも子どもたちに寄り添いながら、髪をカットします。