「消してもまた燃え上がり困難を極めた」大船渡の山林火災現場に派遣された秋田の消防士が語る 現場のリアル
発生から10日目となった岩手県大船渡市の山林火災の消火にあたるため県内からも順次消防隊が派遣されていて、7日の朝も115人が現地に向けて出発しました。
秋田市消防本部にはすでに任務を終えて戻ってきた隊員もいて「消してもまた燃え上がり困難を極めた」と現地の様子を語りました。
岩手県大船渡市の山林火災の消火にあたるため県はこれまでも県内全ての消防本部から隊員を派遣しています。
秋田市消防本部 渡辺邦博消防長
「我々の活動が被災地にとって大きな支えになっております、今後もできる限りの支援をしていかなければなりません、ご難儀はかけますけれどもよろしくお願いいたします、以上です」
大船渡市によりますと7日夕方までに確認された焼失面積は、市全体の9%にあたる約2900ヘクタール。5日からの雨の影響もあり、延焼の拡大はみられていませんが、約3600人余りが避難所や親戚などを頼った生活を続けています。
県内から4回目の派遣として7日に出発したのはあわせて115人です。最前線での消火活動のほか食料の確保といった後方支援にもあたります。
緊急消防援助隊秋田県大隊後方支援小隊 高橋彰久小隊長
「地元には困っている方々、あと被害をとめてほしいと願っている方々がたくさんいらっしゃると思いますので、そういう人たちの思いに応えるために頑張ってきたいと思います」
活動は7日から4日間です。平成以降、国内最大規模となる大船渡市の山林火災。県は、消防庁の要請がある限り派遣を続けることにしています。
実際の現場はどうだったのか。これまでに現地で活動にあたった隊員から話を聞きました。
諸井匠さん(39)
「必死に活動してるんですけども、そのローテションがあって、次のローテーションで行くとまたさっき活動してたところがまた燃えていると、そういったような状況で、まぁ最善を尽くすというつもりではやってきたんですけど、なかなかその効果がみられない現場が続いてました」
2回目の派遣で現地に入った秋田消防署の諸井匠さんは夜通し消火活動にあたりました。
諸井さん
「消火栓が使えなかったんですよ、断水してて。海水引っ張ってくるんでもう何百メートルもホースつないでってですよ、やっぱその水の確保が大変でしたね」「人の意に反して起こることだと思うんですけど、結果的にこのようなことになってしまうこともある、で普段の生活奪われる人もいるってことがあるので」
秋田県隊の隊長として現場指揮にあたった隊員は、こうした山林火災の発生は、秋田も決して例外ではないと警鐘を鳴らします。
1回目派遣の隊長 大塚豪さん
「春先になって空気が乾燥する日が続きますし、あとは気候的に風が強く吹く時期でもありますから、そういったところで火災が発生しますと、可燃物と風と十分に備わってる、燃えやすい環境が整っていますので、秋田でもまぁ同じようなことは懸念されるかと考えています」
2回目派遣の隊長 佐藤貢さん
「山間部等でのたき火だとか様々な、たばこのポイ捨てであるとかその辺はやっぱりモラルをしっかり持って対応していただいてほしいと思っております」
原因を含めわかっていないことが多い大船渡市の山林火災。山林から離れた地域では、炎や煙が確認されていないことなどから10日目の7日になってようやく一部で避難指示が解除されましたが収束の見通しはまだ立っていません。
大船渡の山林火災を受けて、秋田市消防本部は、今週いっぱい市内の消防団の見回りを強化するなどして、火事の予防を呼びかけることにしています。