17歳の男子高校生が落語に挑戦! 人生初の舞台に臨むための課題は『震えと早口』 本番当日までに果たして克服できるのか⁉
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高校2年の17歳男子が人生で初めて落語を舞台で披露しました。本番当日までに、緊張による課題を克服しながら、彼が挑戦する姿を追いました。
本番当日までに、大知くんは「震え」と「早口」を克服できるのか⁉
この日に多くの人を笑わせていたのは……落語。
会場で話芸を披露していた皆さんは、プロではなく、全員アマチュアの落語家なんです。
大人に交じって参加したのが、高校2年生の佐藤大知(さとう・たいち)くん。高座に上がった中で最年少です。
佐藤大知くん:
「やっぱり普段の練習とは全然、コンディションが(違う)。周りの風景とかも違うので……」
人生初の舞台。高校生の挑戦です。
稽古をつけてくれる師匠は、柳家勧之助(やなぎや・かんのすけ)さん。
プロの落語家です。
受講生の中で最年少の大知くんは、大人たちに囲まれて少し緊張気味。
佐藤大知くん:
「緊張はあります。本番は今の何十倍の人が来る。想像すると緊張しちゃいます」
両親の影響で、幼いころから落語が好きだったという大知くん。
これまでも独学で落語を勉強していましたが、今回、教室に通い始めたのにはある理由がありました。
佐藤大知くん:
「自分の人生で一番印象に残っているエピソードが、学校のプレゼンテーションみたいな場面でミスをした思い出だったら、めちゃくちゃ恥ずかしいので」
落語の発表を通して、人前で堂々と話せるようになりたいと話す大知くん。
今回、披露するのは「味噌豆(みそまめ)」という古典落語です。
奉公人の定吉(さだきち)が味噌豆のつまみ食いを旦那様に見つかり、叱られてしまいます。
一方、定吉を叱った旦那様もお腹がすいてしまい味噌豆を食べようとしますが、トイレにこっそりと隠れます。
定吉も同じように隠れて味噌豆を食べようとトイレに行くと、その場で定吉は旦那様と鉢合わせになります。
そこで、機転を利かせた一言を旦那様に告げ、その場を乗り切ろうとするというお話です。
いざ、発表の時間になると……。
大知くんは、扇子(せんす)を持つ手の震えが止まりません。
旦那様 「定吉、定吉」
定吉 「へーい旦那様、お呼びでしょうか」
旦那様 「今ちょうど台所で豆を煮ているんだが、そろそろ煮えたと思うから見てきてくれないか?」
さらに緊張からなのか、大知くんはどうしてもセリフが早口になってしまいます。
師匠:
「一個一個、もう少し間を持たせた方がいい。旦那~、旦那~で返事がない状況をイメージさせるために、間を取った方がいい」
師匠:
「ちょっと手が震えたりなんかして。『家だと手が震えないんだよね?』と聞いたら、家での練習だと震えないようです。でも手が震え出した場合には、手を太ももに置いて(もう一方の手で)震えを抑えたらいい、というようなアドバイスをしています」
落語体験教室の後、 大知くんが向かったのは祖父母の家。
少しでも人前で落語を披露する経験を積もうと、祖父母を前に練習するといいます。
大知くんの祖母・勝子さん:
「すごいよ、おばあちゃんはすごいなと思ってる。上手だよ」
そのように優しく声をかける祖母の勝子さんに対し、祖父の善乙(よしお)さんからは厳しいアドバイスが……。
大知くんの祖父・善乙さん:
「ちょっと早口だな。意識してもっとゆっくり、皆さんが理解できるようなスピードを練習すると、話の内容が伝わりやすいかも。もう1回やりなさい」
発表会まで残り1週間。 祖父母の前で、話のテンポや間を意識した練習を続けました。
本番当日、人生初の舞台で大知くんは無事、落語を披露できるのか⁉
そして、本番当日。
記者:
「着物は自分で買ってきたもの?」
佐藤大知くん:
「元々は祖父のものです。今回、自分が使わせてもらってます。(祖父が)隣で見守ってくれている感じがしますね」
会場には来られない祖父の善乙さんの分まで、祖母の勝子さんが応援します。
大知くんの祖母・勝子さん:
「今までの練習の成果を今日出しな。こないだ言われたように、間を置いてやればきっと上手だと思うよ」
果たしてお客さんを笑わせることはできるのか。
いよいよ発表会の開演です。控室も独特の緊張感に包まれていました。
「見に行ってみよう」と出演者のひとりに促されて舞台の袖に行き、舞台の様子をうかがう大知くん。
佐藤大知くん:
「圧迫感がすごいですね。プレッシャーもすごいですし」
人前で堂々と話せるようになりたいと始めた落語体験教室。
人生初の舞台に、大知くんが臨みます。
佐藤大知くん:
「よろしくお願いします」
旦那様 「定吉、定吉や~」
定吉 「へーい旦那様、お呼びでしょうか」
途中、扇子を使う場面で手を震わせながらも、なんとか乗り切りました。
さらに、定吉が旦那様に呼びかける場面。
定吉 「旦那様~、旦那~。ばか旦那~、ばか~」
大知くんがゆっくり間を置くと、会場からは笑いがあふれました。
そして、トイレに隠れて味噌豆を食べる旦那様と定吉が鉢合わせになるオチの部分。
定吉 「旦那様、こんなところで何を!」
旦那様 「定吉!お前こそ、こんなところで何をしている!」
定吉 「えっと、わたしはあの……(旦那様に)おかわりを持ってきました」
佐藤大知くん:
「よくできたと思います、自分の中で。 『ばか旦那~』のところで間を強調できました。お客さんが笑ってくれてよかったです」
観客席の最前列で見守っていた祖母の勝子さん。
大知くんの祖母・勝子さん:
「今日はよく笑いました。孫の落語、楽しかったよ。上手にやれたね」
佐藤大知くん:
「お客さんに笑ってもらえて、想像していたよりも成功したっていうことを(祖父に)伝えたいです。成長した実感はあります」