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「確実に一歩ずつ前に…」復興への思い胸に“旅立ちの春” 能登の公立高校で卒業式 

2025年3月3日 18:34
「確実に一歩ずつ前に…」復興への思い胸に“旅立ちの春” 能登の公立高校で卒業式 
石川県内の高校では卒業式シーズンを迎えています。能登半島地震の爪痕が残る奥能登の高校では、被災地での高校生活を送った卒業生たちが旅立ちの春を迎えました。

3日、県立輪島高校では96人が門出の日を迎えました。

去年の卒業式は、校舎が避難所として使われていたため、100キロ以上離れた金沢市内の会場で行われましたが、ことしは2年ぶりに学校で行うことができました。

自宅が被災し仮設住宅から通う人。学校に籍を残しながら二次避難先の高校で勉学に励んだ人。生徒たちは高校生活の大半を復旧復興の中で過ごしてきました。

卒業生代表・志田 心湖 さん:
「私たちは3年間を過ごしたこの校舎で多くの方に門出を祝っていただけることがどんなにありがたいことなのか身をもって感じています。きょうまで大切に育ててくれて本当にありがとうございました。この思いを行動で示していけるように精進していきます」

卒業生:
「地震があった時つらいことが多かったですが、みんなと一緒に行事とかいろいろできて卒業式もできたことが嬉しい」
「最後にこうしてみんなと会えて一緒に卒業できて嬉しい」

一方、珠洲市の飯田高校でも、101人が門出の日を迎えました。

卒業生代表・鈴木 杏佳 さん:
「街なかの景色は、まだ変わらないところもあります。震災から乗り越えたとはまだ言えないかもしれないけれど、確実に一歩ずつ前に進めていることは確かです。苦しい時もつらい時もあったけど、最後に笑っていられたのはみんなのおかげです。本当にありがとう」

ウエイトリフティング部で活躍した山下由起さんも卒業の日を迎えました。

被災し、約1か月半練習ができなかった飯田高校のウエイトリフティング部。それでも山下さんは、去年のインターハイで大会新記録を出し連覇を達成。団体でも準優勝に貢献しました。今後も東京の大学で競技を続けます。

飯田高校・山下 由起 選手:
「3年間多くの方々に支えてもらって結果を残すことができて、特に地震があってからは本当にたくさんの方に支えてもらったので、これからも結果でお返しできるように頑張りたい。高校では通用していた部分が通用しなくなる部分もあるので、しっかりと練習をして結果を残してそれを自信に、さらに上を世界を目指して頑張っていけたらいい」

卒業後は多くの生徒が珠洲を離れますが、学び舎での思い出は一生の宝物。

卒業生:
Q. 思い出は?「体育祭です。運動だけは負けなかったので楽しかったです」
「歯科衛生士の専門学校に行きます。理想の歯科衛生士になれるように勉強を頑張っていきたいです」

旅立ちの春、復興への思いを胸にそれぞれの新しい生活が始まります。

最終更新日:2025年3月3日 18:34
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