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医師の働き方改革 労働時間削減にどう対応?

2024年6月20日 19:50

医師の働き方改革、宮崎ではどのように進んでいるのでしょうか。

厚生労働省によりますと、2019年の調査では、病院の常勤の勤務医の約4割が過労死ラインとされる月80時間以上、1日あたりでは4時間程度の時間外労働をしています。

医師には制限がなかった時間外労働ですが、今年4月に年間960時間と上限が設けられました。

忙しい医師の労働時間の削減はどう進めようとされているのか、県内医療の中核を担う宮崎大学医学部附属病院で見てきました。

(早瀬純哉記者)
「医師の負担軽減が求められる中、こちらの病院では、勤務管理と役割分担で解決を目指します」

宮崎大学医学部附属病院では、ほかの職種との連携で医師の負担を減らしています。

例えば、医師事務作業補助者、通称・ドクターズクラーク。医師が行ってきた事務作業などを代わりに行い、診療業務をサポートしています。

(宮崎大学医学部附属病院 賀本敏行副院長)
「クラークさんは、ずっと医師を見てくれていて、それが専門の仕事なので、『あの先生あれが漏れているな』とか『あの先生は大概あれやってないよね』というのが分かるので、全体のクオリティの平準化ができる」

宮崎大学医学部附属病院では、いち早くドクターズクラークを導入。今年で8年目になります。

最初は2人からスタートし、今年5月には51人にまで増えました。

すべての診療科に平均3人配置され、医師の指導のもと患者から聞き取った内容をカルテに入力し、検査。処方などを依頼します。

(医師)
「スケジューリングなどの細かいオーダーや診断書も手伝っていただいて助かっている。患者の希望などを直接話す時間が長くとれているのでとても助かっている」

(ドクターズクラーク)
「専門性が高くて、継続的に知識を習得することが必要な仕事だが、学んだことが実際の業務で役に立った時や、先生に『助かります』と言われた時にがんばってよかったと思う」

専門的な知識が必要となるドクターズクラーク。医師を支える存在です。

(宮崎大学医学部附属病院 賀本敏行副院長)
「事務作業に関しては、新人ドクターよりよっぽど上なので教えてもくれる。それをこれまでは医者が教えていた。目に見えないところで、医師も楽になっていると思う」

こうした役割分担と並行して取り組んでいるのが、医師の勤務管理の徹底です。

(宮崎大学医学部附属病院 賀本敏行副院長)
「患者さんがいて、診療しないといけないのであれば関係ない。『時間外労働の規制があるから帰ります』とは言えない。だが、勤務時間を把握していれば、次の月は特定の人に過重がかからないように考えることができる」

宮崎大学附属病院では、2019年から独自に開発したソフトで勤務を管理。出勤から退勤までの間、診察・教育・当直などの9項目から勤務内容を記入し、医師が何をしているか明確に把握できるようにしました。

(宮崎大学医学部附属病院 賀本敏行副院長)
「タイムカードだけだったら、病院にいるということだけしかわからず、何をしていたか解析できない。『実はあの日、手術無くなったよね。手術が無くなったらその日何してたの?』という話になる。そういうことも可視化できるようにしたかった」

勤務管理ソフトの導入前は把握が難しかった時間外労働。去年は、年間960時間を超えていた医師が常勤・非常勤あわせて全体の約1割にあたる59人でした。

(宮崎大学医学部附属病院 賀本敏行副院長)
「実態を雇用者が把握して、人が少ないのであれば人を増やすしかない。(勤務管理をすれば)実際どれくらい足りないかというのが出てくる。あるいは足りているなら足りていると出てくるので、労働時間をちゃんと把握するということが法律で決まったのは良かったと思う」

法律の施行によって労働時間を把握する体制が整いました。

ドクターズクラークによる医師の負担軽減とともに患者を守る医師を守るための働き方改革がはじまっています。

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