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言うだけで満足!では、意味がありませ~ん

2010年11月16日 20:09
言うだけで満足!では、意味がありませ~ん

 みなさん、覚えていますか?8日の衆議院予算委員会で、自民党・棚橋議員が、菅首相に向けて発したこのセリフ。

 「中国にものを言わずに、『ジャイアンにはひどい目にあっているね』と。スネ夫とのび太がこんなこと言ったってどうにもならないんですよ。ジャイアンと戦ってください。胡錦濤さんに言うんですか?言わないんですか?」

 のび太?ジャイアン?…実はこれ、「(中国・胡錦濤国家主席と会談が行われたら)尖閣はわが国固有の領土であると言えるのか?」と詰め寄られた菅首相が、ベトナムとの首脳会談での成果を引き合いに出したことで、棚橋議員に厳しく追及された一幕でした。

 その激しい追及に対して、菅首相は「(胡錦濤国家主席と会談できたら)当然、尖閣諸島は我が国の固有の領土であってこの地域に領土問題は存在しないとハッキリ申し上げる」と強調しましたが…さて、そのジャイアンに言えるのでしょうか。

 まずは、韓国・ソウルで行われた「G20サミット」。菅首相は現地での会見で、「ちょうど私が振り向いたら(胡錦濤国家主席が)後ろを通っておられて…」と話しはじめます。おっ、まさか会談実現?!期待感が高まりますね!で、どんな会話を?

 菅首相「やーやーと、一言二言、声を交わしました」―えーっ、「やーやー」…って、それだけ?結局、この日はわずかに言葉を交わしただけでした。

 いやいや、まだ、横浜市で13日と14日に開かれるAPEC(=アジア太平洋経済協力会議)でチャンスがありますよ。菅首相も「(胡錦濤国家主席に)横浜でまたお会いしたいですね」と、話しかけたということですし。さあ、菅首相!“横浜で言えたらいいな♪会談できたらいいな♪”…ですね!

 そして、ついに13日。沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件後、初めてとなる日中首脳会談が実現しました。しかし、会談の際の2人は、互いに堅~い表情。菅首相は、ちゃんと言えたのでしょうか?

 菅首相「日中の首脳会談で、尖閣列島はわが国固有の領土であって、この地域に領土問題は生じないという基本的な立場を明確に伝えたところであります」―お~、言えたようですよ!

 しかし、自民党・石原幹事長は、「(中・露首脳と)会談すればいいんだということが目的化されて、本当の議論が22分では、日中にしてもなされていませんし…」と、ピシャリ。そう、言うだけで満足!では意味がありませ~ん。

 さて、8日に、予算委員として、尖閣ビデオを視聴した自民党・小泉進次郎議員は、「国民はもう40分見ていて、国会議員は6分しか見られない。まったく意味ないと思いますね」と、不満だらけの様子。そう、尖閣ビデオ流出事件の影響で、国会は未だに与野党が公開の是非をめぐって応酬が続いています。

 10日の衆議院予算委員会でも、「もう、さっさと映像を公開しろ~!」と、野党が激しく迫ります。さらにヒートアップした場内からは、菅首相に「総理大臣らしい答弁しなさいよ」と、ヤジが。これには菅首相も、「ちょっとヤジ、止めてもらえませんか」と、さすがに困った様子ですが、衆議院予算委員会・中井委員長は一言。「止めても止まりませんから」―あらら、キッパリ。そう、批判は止まりませーん!

 さて、ここで整理しましょう。そもそも沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で対応がマズいと批判されていたのは、仙谷官房長官。さらに仙谷官房長官はビデオを公開しない理由は、「裁判前に証拠は公にしてはならないから」と、説明。これは、そう、『刑事訴訟法47条!』…仙谷官房長官は、政界入りする前は弁護士として活動していたんです。まさに、元弁護士ならではの“仙谷理論”が炸裂です。

 ところが、尖閣ビデオが、インターネット上に投稿されてしまいました。『秘密』だから『公開しない』のに、『出ちゃった』から『情報漏洩』ってことは…海上保安庁の管理不行き届きで『責任問題に』ってことに。そして、野党の批判の矛先は…今度は、馬淵国交相に!

 これについて、仙谷官房長官は、「政治職と執行職のトップというのは、これも一般論ですけれども、責任のありかたは違うと思いますけれども」と、発言。んっ?『政治職と執行職は違う』…つまり、“政治職”である馬淵国交相はともかく、“執行職”である海上保安庁長官には責任アリ!ってことですか。えーっ!ここでまた “仙谷理論”ですか!

 さあ、この件で、 “闘う参院自民党”こと、山本一太参院政審会長は、「まさに『看板倒れの政治主導』。都合の悪いことは官僚に押しつけると。しかし、見かけはいかにも政治主導が決めたように演出する」と、お得意の紙芝居で、仙谷官房長官の発言を鋭く批判。ホントに『政治主導』って、どこへ行ってしまったのでしょう…。

 さて、その仙谷官房長官は、9日午後の委員会で、「あの辺からどうも望遠レンズ、拡大レンズで盗撮をされた」と、発言。盗撮?いったい今度は何ですか?…実は、仙谷官房長官は、委員会で自ら見ていた「極秘」扱いのメモを撮影され、それが報道されたことにお怒りのよう。しかし、これには報道側も「そもそも認められた取材席からの通常取材であり、盗撮だなんて容認できない」と、大反論!

 これを受けるかたちで、12日、仙谷官房長官は、「(盗撮とは)誤解を生じさせかねない表現でしたので」と、さすがに反省の様子です。と、思いきや、「釈然としてないのは…」と、仙谷官房長官、まだ何やら言いたいことがありそうです。

 続けて、仙谷官房長官は、「写真機が極めて進歩したこの時代においては、撮影のあり方を、もう一度考え直してみる必要があるのではないか」と発言。…えーっ、またまた、ここでも“仙谷理論”ですか!?…『撮影ルールが悪い』って言いますけど、仙谷官房長官の不注意だったってことはないですか?

 とはいえ、仙谷官房長官の肝いりで準備を進めてきたAPECは無事に終了しました。ファーストレディーの菅伸子夫人は、APEC首脳会議で来日した各国の婦人を引き連れて鎌倉を訪問。見事なお手前で、案内役を務めました。ちなみに、その中には、レン・ホウウ夫人の姿も。え?蓮舫行政刷新相?いえいえ、台湾のレン・ホウウさん。国家政策研究基金会理事長のご夫人ということです。夫人外交は大成功のようですね!

 さて、今週は、レンホウさん、失礼、蓮舫行政刷新相が正念場を迎えています。過去の仕分けで「廃止」や「予算削減」と判定されたにもかかわらず、骨抜きにされて存続している事業などを対象にして『再仕分け』を行っているんです。

 政権浮揚も狙う「事業仕分け」。民主党政権が編成した予算事業を、おなじ与党が検証することになりますが、仕分ける側、仕分けられる側もそれぞれ、誰かさんの“理論”ように、“ああ言えば、こう言う”ばかりではうまくいきませんよ~。