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パリで“体操の王様”に──岡慎之助選手、ナゼ強い? ジュニア時代のあだ名は「チン」…恩師が明かす秘話【#みんなのギモン】

2024年8月2日 12:26
パリで“体操の王様”に──岡慎之助選手、ナゼ強い? ジュニア時代のあだ名は「チン」…恩師が明かす秘話【#みんなのギモン】
パリオリンピック体操男子で花開いた岡慎之助選手(徳洲会体操クラブ)。競合した中国のメディアもたたえる、安定感ある美しい演技が世界を魅了しました。ミスのない完成度の高い技をひょうひょうと繰り出せる理由、ジュニア時代の様子は…。強さの背景を探りました。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「大金星! 岡慎之助選手とは?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●“恩師”が明かす…「慎之助」秘話
●大ケガからの“奇跡”

■団体に続いて2つ目の金メダルを獲得

小林史・日本テレビ解説委員
「オリンピックの公式サイトも『男子体操で日本の圧倒的な強さが続いている』と報じているんですが、(岡選手の演技は)ご覧になりましたか?」

森圭介アナウンサー
「はい。見て、寝不足です…」

忽滑谷こころアナウンサー
「(中継で)東京のスタジオで進行を担当して、ずっと見ていました。出演者もスタッフも全員立ち上がって1つのモニターの前で手に汗握って見ていました」

「体操界隈で岡選手は『しんちゃん』と呼ばれているそうで、スタジオでも勝手に『しんちゃん、しんちゃん』と呼んでいました。“しんちゃんスマイル”が見られる素晴らしい演技でしたね。感動しました」

小林解説委員
「美しい演技を見せてくれました。男子個人総合の決勝では、忽滑谷こころアナウンサーが競技の様子を伝え、岡選手がインタビューに応えました」

忽滑谷アナウンサー
「オリンピック初出場とは思えないような、安定感が光る演技を見せます。2種目目が終わった時点で全体のトップに立つと、金メダルの行方は最終種目の鉄棒へ。団体に続き2つ目の金メダルを獲得し、『体操の王様』と呼ばれる個人総合の頂点に立ちました」

岡選手
「この五輪でも団体と個人で金メダルの獲得を目指して練習してきたので、その練習の成果がこの金メダルにつながって、本当に嬉しいです」

■「逆上がり」ができる保育園児

小林解説委員
「どんなふうに見ていましたか?」

鈴江奈々アナウンサー
「団体戦でもとにかく安定感のある素晴らしい演技を見せていて、個人でも全く動じていなかったなという印象がありました」

桐谷美玲キャスター
「堂々としていましたよね。本当に技が美しかったです」

森アナウンサー
「内村航平さんから橋本(大輝)選手が出て、岡選手と。どんどんニュースターがオリンピックごとに生まれていますね」

小林解説委員
「個人総合では、日本の選手が4大会連続の金メダルとなりました。岡選手についてもっと知りたいという人も多いと思います」

「岡選手は 2003年10月31日生まれの20歳。身長は155センチ、体重は54キロです。体操を始めたのは4歳の時ですが、保育園児の頃に逆上がりができたといいます」

「ただ、岡選手が小学2年生から7年間所属した『おかやまジュニア体操スクール』の三宅裕二代表は『当時からすごかったかというと、そうではない。割と普通の印象だった』と振り返ります。ちょっと驚きですよね」

■厳しい練習…10歳当時の貴重な映像

小林解説委員
「2013年12月、当時10歳だった岡選手の貴重な映像があります。三宅さんによると、週6日、1日5~7時間練習していました。クラブの練習は非常に厳しく、基本を何回も何回も繰り返しやったそうです」

「体操をやるというよりは、姿勢や歩き方など基本の習得を 3~4 年間かけてやったといいます」

森アナウンサー
「基礎がしっかりしていて、それが花開いたということなんですね」

■基本を徹底、コツコツと努力する性格

小林解説委員
「そんな岡選手が、ジュニア時代から仲間に呼ばれていたニックネームがあります。『チン』です。なぜ『チン』だったか分かりますか?」

森アナウンサー
「難しい技でも、レンジでチンするみたいにすぐにできちゃうから、ですか?」

桐谷キャスター
「犬の種類の『チン』のようにかわいらしかったから、ですか?」

小林解説委員
「三宅さんによると、ジュニア時代は大会や練習などの大事な時に結構失敗してしまうタイプで、失敗する時の『チーン』という効果音から『チン』と呼ばれていたそうです。決して勝負強いタイプではなかったということです」

鈴江アナウンサー
「今じゃ考えられないですよね」

小林解説委員
「だからこそ悔しくて、そこから姿勢をきれいにすることを徹底的にやったということです。コツコツと黙々とやるタイプで、努力して基本をたたき込むことでミスが少なくなったといいます」

鈴江アナウンサー
「今回の金メダルも、努力してコツコツ練習を重ねてきた結果、花開いたんですね」

森アナウンサー
「そう考えると、子どもの頃に『自分はこんなにうまくいかない、周りの方がすごい』と諦めちゃうことはいっぱいあると思うんですけど、そこで諦めずに基本をちゃんとやっていれば、20歳で金メダル。神様は見てるね、って思いますね」

■2年前に試練…全治1年の大ケガ

小林解説委員
「努力は報われる、ということを体現していますよね。今回金メダルを手にできた大きなポイントの1つが、大ケガからの“奇跡”です」

「オリンピックの2年前、大きな試練が岡選手を襲います。2022年4月、体操の全日本選手権で跳馬の着地に失敗し、右膝の前十字じん帯を断裂するという大ケガを負ってしまいました。全治1年。不安でしかないですよね」

■復帰後は「つり輪」で1点近くUP

小林解説委員
「しかし復帰後の進化を目指し、下半身を動かせない分、上半身を徹底的に鍛えることをしました。その結果、復帰後には上半身の筋力が重要な『つり輪』で得点が1点近くアップ。コンマ数点を争う個人総合では、大きな進化と言えます」

「(オリンピックの)大会前、岡選手は『あれ(ケガ)があってよかったと証明したい』と語っていました」

鈴江アナウンサー
「この気持ちの強さは本当にすごいですね」

忽滑谷アナウンサー
「日本の選手はつり輪が割と苦手と言われている人が多く、その中で1点近くアップさせたということで、国内の熾烈な争いに勝って、オリンピックにつなげていったんだなと改めて感じますね」

小林解説委員
「マイナスをプラスに変えていく力も、選手としてすごいなと思います」

■金メダリストに聞く…「金」の要因

小林解説委員
「改めて今回の最終成績を見てみると、銀メダルの中国の張博恒(チョウ・ハクコウ)選手との差は0.233点。その勝負の分かれ目、金メダルの要因について、リオオリンピックの体操男子団体金メダリストの田中佑典さんに聞きました」

「田中さんは『ミスなく、質の高い、完成度の高い技の数々だった』と大絶賛しています。特に、床は岡選手だからできる特徴ある技で、基本ができているからこその技がたくさん見られたということです」

「田中さんによると、他の種目も大きな減点となる落下がなく、ひょうひょうと演技をしていた。おかやまジュニアで磨いた基本姿勢と、徳洲会体操クラブで磨いた技が光っていたといいます」

森アナウンサー
「まさに、ひょうひょうという言葉が一番しっくりくるかもしれません。前回王者の橋本選手が団体のチームメイトにいます。世界のトップと一緒にやってきた3年間というのも大きかったんでしょうね」

■金メダル競り合い…中国メディアは

小林解説委員
「岡選手のサプライズ的な優勝を、最後まで金メダルを競り合った中国のメディアはどう報じたのでしょうか?」

「『日本の“ダークホース”がタイトルを獲得』『岡慎之助は突然現れた』と、銀メダルに終わった張選手への批判というよりは、雲を突き抜けるように金メダルへ駆け上がった岡選手の勢いをたたえているといった論調です」

鈴江アナウンサー
「個人でも団体でも中国の選手と一騎打ちになるシーンは多かったですけれども、お互いたたえ合っているというのも、スポーツマンシップを感じました」

小林解説委員
「快進撃が続く体操男子日本。岡選手は日本時間の5日に、種目別の平行棒と鉄棒の決勝に出場し、3つ目の金メダルを目指します」

(2024年8月1日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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