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日露外相会談 領土問題で進展見られず

2011年2月12日 1:37
日露外相会談 領土問題で進展見られず

 前原外相は日本時間11日、訪問先のロシアでラブロフ外相と会談した。予定を約1時間オーバーした会談だったが、領土問題で進展は見られなかった。

 今回の外相会談は去年11月にメドベージェフ大統領が国後島を訪問して以来、ぎくしゃくした日露関係を改善し、北方領土返還交渉進展のきっかけにすることができるかが焦点だった。

 しかし、ラブロフ外相は会談で、メドベージェフ大統領による国後島訪問を菅首相が「暴挙だ」とした発言を念頭に、「友好的な雰囲気で会談を行いたかったが、そうではない。北方領土の日に様々な許し難い行動があったからだ」と切り出した。

 一方、前原外相は、「北方四島は日本固有の領土である」と強調した上で、ロシア高官による北方領土訪問が相次いでいることに遺憾の意を示すなど、進展はなかった。

 前原外相は会談終了後の共同会見でも「領土問題については、基本的に考え方は平行線であります」と述べた。

 また、ラブロフ外相は、北方領土の開発について中国や韓国の投資に期待感を表明したが、前原外相は「我が国の立場と相いれない」と不快感を示した。北方領土をめぐって険悪化する日露関係は、改善の兆しが見えない。

 日本のある外務省幹部は「来年春のロシア大統領選挙まで、ロシア側が領土問題で譲ることは考えづらい」と述べるなど、近い将来の事態打開に悲観的な見方も出ている。

 ロシア側が北方領土に対する実効支配をますます強める中、返還交渉進展に向けた有効な道筋を描くことができるか、戦略の立て直しが求められている。