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“暗中模索”の延長国会 記者が解説

2011年6月23日 0:15
“暗中模索”の延長国会 記者が解説

 22日夕方の衆議院本会議で、同日に会期末を迎えた通常国会を8月31日まで70日間延長することが、与党や共産党、社民党などの賛成多数で議決された。しかし、野党側が求めていた菅首相の退陣の時期は明確にならず、自民・公明両党は延長に反対した。延長国会はどうなるのか、政治部・青山和弘記者が解説する。

 会期の延長幅をめぐる数日間の迷走の末、結局、野党側とは何の合意もできなかった。民主党の中堅議員は「野党から何も取れず、何のための交渉だったのか。民間企業ならクビだ」とあきれ顔だった。民主党幹部も「これから国会はもめる」と話し、国会を延長したのに与野党の攻防に日数を費やすのではないかと悲観的な見方を隠していない。

 一方、菅首相は22日夜、自らが率いる議員グループの会合に出席し、拍手で迎えられて上機嫌だったという。しかし、延長国会は退陣を求める声を浴びながら、暗中模索の政権運営が強いられることになる。

 民主党執行部は、菅首相の8月中の退陣というシナリオを描いている。首相周辺も「地位に恋々としているわけではない」と強調するが、今回、頑として退陣時期を明確にすることに抵抗した菅首相の真意をいぶかる声は民主党内にも出ている。そんな中、与野党双方に菅首相が8月末に「脱原発」を争点に解散を打ってくるのではないかという疑念も出ている。

 東日本大震災復興と福島第一原子力発電所事故を抱えたまま、漂流する菅政権の行き着く先は見えない。