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【解説】“逆風”の石破政権どうなる? 世論調査「支持率31%」発足以来“最低”に

2025年3月17日 20:59
【解説】“逆風”の石破政権どうなる? 世論調査「支持率31%」発足以来“最低”に

NNNと読売新聞が14日から16日まで世論調査を行い、石破首相が自民党新人議員に10万円相当の商品券を配っていたことについて、「問題だと思うか」と聞いたところ、「思う」が75%に達しました。

また、石破内閣を支持するかどうかたずねたところ「支持する」と答えた人は31%。前回2月調査から8ポイント下がり、石破政権が発足して以来、最低となりました。一方で「支持しない」と答えた人は58%で、前回より15ポイント上がっています。

この「逆風」を石破政権は耐えきれるのか。日本テレビ政治部官邸キャップの平本典昭記者が、以下の3つの疑問に沿って解説します。

1.「スリーアウト」でピンチ?
2.政権いつまで? 緊急100人取材
3.「石破おろし」鍵握るポイント?

鈴江奈々キャスター
「まず『スリーアウト』とは、何が3つのアウトなのでしょうか?」

政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「まず支持率31%という数字は、今の政権が発足後最低ということに加え、下げ幅も8ポイントと衆院選後、最大となったのが特徴です」

「今、ドジャース来日で野球で日本中が盛り上がってますが、そこにひっかけて、ある自民党中堅議員は野球にたとえて『高額療養費、10万円商品券、そして支持率の低下。これで石破政権はスリーアウトチェンジだ』と皮肉交じりに語っています」

「なぜ、ここまで支持率が下がったのか。世論調査でもう1つ注目の数字があります。支持の理由のひとつ、『石破総理が信頼できる』という数字です。この数字も政権発足以来、最低の15%。下げ幅も9ポイントと最大となったのが特徴です」

「理由について複数の与野党議員が『自民党の中では石破さんはお金にクリーン、世論と近いことが魅力だったのに「石破さん、あなたもか」と世論が思ったのだろう』と分析しています」

「また、103万円の壁の見直しをめぐる政府与党がまとめた案は約2万円の手取りを増やすというものでした。ある野党幹部は『国民の手取りは2万円しか増やさないのに、新人議員の手取りは10万円も増やすのか』と批判を展開しています」

鈴江キャスター
「2つ目の疑問ですが、政権はいつまで? この逆風で政権はどうなるのか? 与野党の国会議員ら100人に緊急取材したということですが、結果は?」

平本記者
「世論の変化は数字でわかりました。続いて永田町の議員の心理の変化を数字で分析するため、日本テレビ政治部が100人に緊急取材し73人から有効回答を得ました」

「3つの質問をしました。ズバリ直球で、石破政権はいつまで続くのか? (1)予算成立と引き替えに退陣、春まで (2)通常国会の閉幕に合わせ退陣、6月まで (3)7月以降も続投、参院選も石破首相で戦うのか」

「鈴江さん、最も多かったのはどれだと思いますか?」

鈴江キャスター
「有効回答73人のうち、与野党議員の割合は?」

平本記者
「ほぼ半々です」

鈴江キャスター
「そうなると『参院選も石破首相で』という答えが多かったでしょうか?」

平本記者
「はい、正解です。一番多かったのは『参院選まで石破首相』で33人。ただ今回注目したいのは、急激に増えた数字です。『来年度予算の成立と同時に退陣』の28人です」

「この数字の意味を深掘りするために、4か月前の数字と比較したいと思います。全て同じ回答者ではありませんが、同じ取材を12月に行ったのを覚えてますか? その時は『参院選まで石破首相は続く』と64人が答えていたのが、今回33人と一気に減りました。逆に、12月に19人だったところ増えたのが『この春、予算成立まで』の28人。4か月で、永田町の雰囲気が一変したことがわかります」

平本記者
「もう1つ、今回の取材で興味深い数字があります。予算成立と同時に退陣と答えた人は石破首相のいわば『敵』となる野党より、『身内』の与党議員の方が数が多かったんです」

「まさに先週お伝えした、本来攻めるべき野党が続投を望み、守るべき与党が退陣を望む『奇妙なねじれ』が数字となって見えた形です」

「この背景について、与党が退陣を望む理由は、複数の自民党議員が石破首相では『参議院選挙が戦えない』と口をそろえています。一方、野党が続投を望む理由についてある立憲幹部は『夏の参院選は石破総理と戦った方が野党にとって優位だ』と話しています。別の幹部は『国会で石破首相を追及し続け、自民党のイメージダウンを狙う』などと戦略を明かしています」

鈴江キャスター
「与野党の思惑がある中で『石破おろし』の鍵を握るポイントはどこに?」

平本記者
「反石破の動きが『うねり』となるのか、また『ポスト石破候補』は自分だ、という人が出てくるのかという点は、先週お伝えしました」

「今日はもう1つのポイント、ある自民党のベテラン議員が冷静にこう指摘しています。『仮に総裁選で新しいトップを選んでも、少数与党国会では総理大臣指名選挙で野党の協力がないと総理に指名できない』と」

「つまり、今の『手詰まり感』を打開するため、新しい自民党のトップを決めても、国会で首相への指名が見通せず、新たな『沼』にはまる可能性があるというわけです」

「石破首相に対する逆風の『瞬間風速』は、いまだかつてない強さとなっていますが、野党の思惑、少数与党の現実などが複雑に絡み合い、先が見通せない状況が続いています」

鈴江キャスター
「複雑な力学が働いている中で、野党第一党の立憲民主党の野田さんのもと、まとめていこうという『うねり』には、いまのところつながっていないということでしょうか?」

平本記者
「立憲民主党としては『そうしたい』という狙いがあると思います。ただ、予算の態度でも野党は一枚岩にはいきませんでした。参議院選挙の戦略をめぐっても野党は一枚岩になっていません。こうしたことから、そういった立憲民主党の戦略も簡単かといえば、そうでもない。非常に複雑な状況になっているといえます」

最終更新日:2025年3月17日 20:59
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