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2015年 日朝協議の行方

2015年1月3日 23:54

 安倍政権はこれまで、北朝鮮による日本人拉致問題の解決を最重要課題と位置付けて北朝鮮との交渉に臨んできた。

 去年7月、北朝鮮は拉致被害者など全ての日本人の全面調査を行う特別調査委員会を立ち上げた見返りに、日本側は独自に科していた制裁の一部を解除した。しかし、当初「夏の終わりから秋の始め」とされていた北朝鮮からの1回目の調査報告は、半年たった現在も行われていない。

 北朝鮮側からいまだ報告が行われないことについて、外務省幹部は「北朝鮮を取り巻く状況が厳しい。拉致問題など北朝鮮の人権状況を非難する国連での決議や映画をめぐるサイバーアタックの問題などで、北朝鮮として日本との協議にエネルギーを割けないのではないか」と指摘している。

 一方、政府内には北朝鮮に対する国際社会の圧力が高まる中で北朝鮮が拉致問題の解決に真剣に取り組むのではないかと期待する見方もあり、日朝協議の展望については混沌(こんとん)としているのが実情だ。

 拉致被害者の家族や与野党の一部からは「制裁を復活させるべきだ」など、現在の日本と北朝鮮の協議に批判的な声も上がる中、北朝鮮を取り巻く国際社会の状況の変化を捉えながら北朝鮮から拉致被害者などについて誠意のある調査結果を引き出せるか、安倍政権の外交手腕が問われている。