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安保法案、与野党攻防 政治部長が解説

2015年9月18日 18:06
安保法案、与野党攻防 政治部長が解説

 安全保障関連法案をめぐり、大詰めを迎えている与野党の攻防について、日本テレビ政治部・伊佐治健部長が解説する。

 野党5党が足並みをそろえ、安倍内閣に対する不信任決議案を提出した。野党はできるだけ時間を延ばして法案の採決を18日夜遅くにずれ込ませたい思惑だが、やり過ぎればかえって世論が離れていく。17日の野党側の抗議は、委員長席の背後から飛びついた小西議員を同僚が引きはがして注意する場面もあり、度が過ぎていた。

 衆議院の採決がプラカードによる抗議だったのに比べ、良識の府とも呼ばれる参議院で乱闘ぶりが目立つのは久しくなかった。ただ、ここまで与野党の対立が深刻になってしまったのは安倍内閣の審議の進め方にも問題があったのでないか。

 国民の命に直結する意味で、とりわけ重要な安全保障に関する法律は過去、1992年の国連平和維持活動(PKO)協力法、1999年の周辺事態法、2003年の有事関連3法と、いずれも野党を巻き込んで成立させた。しかし、今回は一部の小政党にとどまった。衆議院では自民党の浜田委員長も認めたが、合計11本の法律を2本にまとめて進めたのはさすがに無理があった。

 例えば、憲法違反と批判される集団的自衛権に関する法律を切り離し、すぐにでも国際社会から求められる可能性があるPKOについての法律は別にして審議できなかったのか。民主党幹部も「PKOだけ切り離されたら賛成せざるを得ない」とも述べていた。

 安全保障環境は待ったなしだ。それゆえ、できる限り早く法案を成立させる必然性は理解できるが、強引さ、荒っぽさが目立ち、国民の間に疑問が広がる原因になったのではないか。

 それは世論調査の結果に表れている。NNNの世論調査では、今国会での法案成立に65%が反対していた。注意すべきは、与党の自民党の支持者でも46.8%、公明党の支持者でも52.4%と、反対の人が多かった実態だ。

 国会周辺の抗議活動も激しくなってきた。与党内には、戦争防止、抑止法案なのに「戦争法案」だと勘違いされているといった不満がくすぶるが、それをひっくり返すだけの説明に欠けている面がある。与党内にはデモにわざわざ参加しているのは特定の人に限られているとの見方が多い。しかし、NNNの世論調査では46.6%の人が、参加するしないは別にデモが国民の意識を代表している、と答えている。こういった点も注意が必要だ。