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総裁選 竹下派が安倍・石破で揺れるワケ

2018年8月3日 15:31
総裁選 竹下派が安倍・石破で揺れるワケ

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「自民党総裁選 竹下派が安倍・石破で揺れるワケ」。日本テレビ・政治部の藤井潤デスクに話を聞いた。

9月の自民党総裁選挙は、安倍首相と石破元幹事長の事実上の「一騎打ち」となる見通しが強まっている。そして、ここにきて、自民党竹下派の参議院議員が石破元幹事長を支持する方針で調整を本格化させている。


――藤井さん、なぜ竹下派のなかで急に石破元幹事長を推す声が出始めたのでしょうか。

はい、まさに竹下派の重鎮、青木幹雄・元官房長官の意向が働いたというわけです。

青木さんは政界引退後の現在も強い影響力を持っています。青木さんは小渕内閣時代の官房長官でもあり、小渕首相が倒れたときは臨時代理も務めたんですね。党の参議院議員会長も長く務め「参院のドン」ともいわれたほどです。


――その青木さんがなぜ石破さんを推すのでしょう?

まさに政治は策略の世界でもあるんですね。総裁選の後、来年の参院選をにらんでの動きなんです。まず、多くの派閥が安倍首相支持を打ち出す中、竹下派の中には「いまさら安倍首相支持を打ち出したところで、何のプラスにもならない」という見方があるんです。

また、今後の参議院選挙などを見据えて「次も安倍さんでいいのか」という声も地方では根強く「石破さんという今の政権と違う政策を打ち出す人がいるなら、しっかり応援すべき」との声も出ているんです。まさに「次の次」をにらんでいるともいえます。


――先を見越した判断があるんですね。

実はそれだけではなく、やはり政治は「義理と人情」の部分もあるんですね。青木さんの今回の指示は、石破さんに自身の息子が世話になった「恩を返す」という意味合いもあるんです。

青木さんはもともと、参議院の島根選挙区選出でした。石破さんは衆議院議員ですが、お隣の鳥取1区の選出です。ちなみに現在の竹下派を率いる竹下亘総務会長は島根2区です。

青木さんは政界を引退した後、地盤を息子の青木一彦さんに譲ります。青木一彦さんは、参議院議員となりましたがこの後、選挙制度が変わるんです。いわゆる「合区」です。この「合区」によって、青木一彦さんの選挙区は「島根・鳥取」の2県に拡大、鳥取は地盤がありませんから、石破さんが青木一彦さんを支援することになりました。その「恩を返す」ということでもあるんです。

ということで、今後のポイントですが「一致結束・箱弁当…なるか?」です。

竹下派は来週9日に派閥の会合があります。ここで方針を正式決定する見通しです。竹下派は昔から「鉄の結束」を誇ってきました。毎週行われる派閥会合では、みんなで同じ「箱弁当」を食べながら議論し、派閥で決まったことに最後は皆で従って行動する、この姿は「一致結束・箱弁当」といわれ派閥の伝統なんですね。

ところが今回は、衆議院で安倍首相を支持する声が根強くあるため、衆議院・参議院で対応が分かれる可能性があります。「一致結束・箱弁当」の伝統を守ることが出来るのか、派閥の結束力も同時に問われています。

【the SOCIAL opinionsより】