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アイウエオ順に6案…「令和」決定のウラ側

2019年4月1日 19:51
アイウエオ順に6案…「令和」決定のウラ側

平成に代わる「令和」。1日午前11時半過ぎの発表まで、情報が厳しく管理される中で、新たな元号が決定された。朝から始まった有識者懇談会や、全ての閣僚による会議では、何が話し合われたのか?我々の取材でその一端が明らかになった。

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「令和」発表の舞台となった首相官邸は、朝から緊張に包まれた。官邸のエントランスは報道陣ですし詰め状態。そして、発表の瞬間は――

記者「えいわ?めいわ?…れいわ!!へー」

1日午前9時32分。予定より2分遅れて始まった元号に関する有識者懇談会。カメラが部屋に入ると、山中伸弥教授が急いで文書を閉じる様子も。

官邸職員「カメラの皆さん、退出をお願いします」

密室の中で、一体どんなやりとりがあったのだろうか?関係者によると、有識者に示された元号案は6つ。複数の出席者によると、アイウエオ順に元号案が並び、それぞれの出典や引用文が書かれた文書が配られたという。「令和」と書かれていたのは一番左。文書が配られると…

政府側「ではご覧ください」

1分ほど案を見る時間があった後、まず、菅官房長官の前に座っていた白石興二郎・日本新聞協会会長が発言。一人ずつ席順に意見を述べ、最後に山中伸弥・京都大学教授が発言したという。

また、出典については、中国の古典に由来する元号案と、日本の古典に由来する元号案がそれぞれ複数あったという。

懇談会の終了後、出席者は雰囲気について――

京都大学教授・山中伸弥氏「皆さん緊張、厳粛な雰囲気で、しかしかつそれぞれ、有識者の皆さんがしっかりご意見をして時間をかけて順番に述べていった。非常に有意義な」

千葉商科大学・宮崎緑氏「『令和』は確かに皆さんいろいろな意見をおっしゃっていて、前向きなご意見が多かった案だと思います」

好意的な意見が一番多かったという「令和」。出席者の1人は――

出席者の1人「もっと意見が割れるのではないかと思ったが、不思議と『令和』に集約された」

懇談会後、出席者はテレビで発表会見を見守り、発表の瞬間には拍手する人もいたという。

千葉商科大学教授の宮崎氏は白い着物に黒い縁取りのある羽織をはおった姿で出席。「日本文化を考える軸足として、この服装を選んだ」と話した。

その後、午前11時前から開かれたのは全閣僚会議。元号案を記した紙が2つにたたまれた状態で配られ、官房副長官から――

官房副長官「有識者会議では『令和』を勧められました」

「有識者の懇談会では『令和』が勧められた」と説明があったという。

午前11時27分、「令和」が発表される15分前には、首相官邸の前に元号を定める政令を皇居へ運ぶ黒い車が。茶色い封筒を持った男性が飛び出すと小走りで車へ乗りこみ、車は皇居へと向かった。

安倍首相「見事に咲き誇る梅の花のようにひとりひとりの日本人が、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい」

発表後、「令和」にこめた思いをこう語った安倍首相。ある有識者からも、「皇太子さまは緑や山が好きなので、ふさわしいのではないか」との意見が出されたという。

1日の選考で自然と賛同の輪が広がっていったという「令和」。人々の耳にもなじんでいくことになりそうだ。