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“出口戦略”めぐり大阪府と国が応酬

2020年5月7日 22:21
“出口戦略”めぐり大阪府と国が応酬

安倍首相は6日、緊急事態宣言の解除について、14日をめどに解除を検討するに当たり、具体的な基準を示す考えを明らかにしました。

一方、大阪府は“出口戦略”について、府独自の「大阪モデル」を打ち出しましたが、西村経済再生担当大臣との間で応酬がありました。

そして、制限緩和の動きが広がる海外。ドイツはすべての商店での営業再開などを認める緩和策を発表しています。


■“緊急事態宣言”から1か月、解除の動きは?

緊急事態宣言は全国一律で延長されましたが、安倍首相は6日「解除の基準」について説明しました。

安倍首相「感染状況などをみつつ、5月14日をめどに専門家に再評価を依頼する。そして、どういう基準で解除したのか、しなかったのか、示したいと思う」

この「解除の基準」、いわゆる“出口戦略”をめぐっては、国と自治体の間で応酬がありました。

大阪府の吉村知事は、「出口戦略を国が示さないので」と断ったうえで、大阪独自の出口戦略、いわゆる『大阪モデル』を決定しました。すると、西村大臣は6日、「国が示さないから、大阪が示すと。何か勘違いされているのではないか。強い違和感を感じる」と述べました。

これを受けて吉村知事は、ツイッターで「今後は発信を気をつけます」と謝罪した上で、7日、改めてこう話しました。

大阪府 吉村知事「決して勘違いしているわけではありません。休業要請の部分については知事の裁量権限の範囲内だと、明確に大臣にも言っていただきましたので。(国に)出口戦略を示していただきたいというのは、今も考え方は変わらない」

2人の言う“出口戦略”は2つあります。

ひとつは「緊急事態の解除」これは国が決めること。もうひとつは、緊急事態宣言に基づく「休業要請などの解除」これは各自治体が決めること、の2つです。吉村知事はこの役割分担がハッキリしたとも話しました。


■海外の“制限解除”の動きは?

日本よりも先に厳しい制限をとってきた国では、解除の動きが出てきています。

韓国では6日から外出制限が解除されましたが、制限が解除される前日のソウル市内の子供公園では、すでに大勢の親子連れで賑わっていました。園内の乗り物には人だかりができ、猿を見ようとする人々は密集、密着していました。

一方、ドイツでは、すべての商店やレストラン、学校などが再開されることになりました。プロサッカーの「ブンデスリーガ」も、今月中旬に無観客で再開の見通しです。再開の時期は州ごとに決めます。ただ、6月5日までは、他人との距離は最低1.5mあけるなどの接触制限措置は継続します。もちろん、一定数以上の感染者が出たら、その地域で再び制限を課す、ということです。

ドイツの感染者はピーク時には、1日で7000人ほどの感染者が出ましたが、5月に入ってからは、1000人前後に減りました。メルケル首相も「新型ウイルスの拡大を防ぐ第1段階を乗り切った」と述べています。すでに2週間前に、小規模店舗は再開されていて、段階を踏んで再開させています。

アメリカ・ニューヨークでも、同様に段階を分けて再開させようとしています。

5月15日まで外出制限が続くニューヨークですが、必要度が高く、感染拡大のリスクが低いものから1~4段階に割り振られていて、1段階目から再開していくとしています。

最初に再開される1段階目は、建設業と製造業、商品を店先で受け取る業種の一部の小売店です。2段階目は、金融や保険、不動産など専門的なサービスなど。3段階目は、レストランやホテル。最後の4段階目は、エンターテインメントや娯楽施設、学校となっています。

■WHOは“制限緩和”に警鐘

制限緩和を進める各国の動きに対して、WHOのテドロス事務局長は、6日の記者会見で釘をさしました。

WHO テドロス事務局長「極めて慎重かつ段階的に制限緩和に移行しなければ、第2波が急速に広がり、ロックダウンに舞い戻るリスクがある」

急に元通りの生活に戻ってしまうのではなく、少しずつ様子を見ながら、慎重に緩和すべきだと強調しています。

日本ではまだ緊急事態宣言が続いていますが、一足早く緩和に向けて動き始めた各国の取り組みは、参考になる点があります。わかりやすい数値で明確な基準を示すことによって、もしそれが満たされない状態になってしまったら、迷わず後戻りできるように、検査や医療態勢を整えておくことが何よりも大切です。

2020年5月7日放送 news every.『ナゼナニっ?』より