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【解説】10万円の商品券、なぜ配布? 石破首相「違法性はない」 身内からは“退陣”求める厳しい声

2025年3月14日 19:58
【解説】10万円の商品券、なぜ配布? 石破首相「違法性はない」 身内からは“退陣”求める厳しい声

石破首相が自民党の新人議員に10万円相当の商品券を配っていたことが明らかになりました。身内の自民党からも「退陣すべき」と厳しい声があがっています。この「10万円の商品券配布問題」について、次の3つの疑問を中心に、政治部官邸キャップの平本典昭記者が解説します。

1.10万円商品券…なぜ渡した?
2.「身内」自民党も批判のワケ
3.どうなる?石破首相の進退

鈴江奈々キャスター
「まず1つ目。政治とカネの問題で不信感がまだまだある中で、なぜ石破首相は新人議員に商品券を渡したのでしょうか?」

政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「なんで、そんなことを…と思いますよね。実は今回の10万円の商品券、大手百貨店の紙袋に入った商品券だったそうですが、受け取った新人議員の中には『これはまずい』と思って返却した人もいたんです」

「世の中の『感覚』からして『これはまずい』と思ったんでしょう。新人議員側の関係者は取材に『違法性とかでなく、面倒なことに巻き込まれたくなかった』などと話しています。逆に言えば、石破首相の行為は『世間の感覚』とずれたものだったと言わざるを得ません」

「なぜ送ったのか。理由について、石破首相自身はこう話しています。『新人議員は生活に苦労も多いだろう、ご家族も苦労が多いだろう』と。自民党のトップとして新人をねぎらいたかったのだ、と」

「石破首相の周辺はこう説明しています。『石破茂さんの政治の師は田中角栄元首相。田中政治で学んだのが、政治家として先輩が後輩の面倒をみるという点だったのでは』と、いうのです」

平本キャップ
「渡した理由。裏を返すと、なぜ、事前に止められなかったのか?という点も大事です。ある自民党ベテラン議員は『これはアウトだと言える人間が周りにいなかった』と指摘しています。石破首相の弱点の1つとして『側近がいない』という指摘があります。石破首相のチームを作る力の弱さが、未然に防ぐことができなかった要因の1つと言えそうです」

鈴江キャスター
「そもそもこういった行為は石破首相に限ったことなのでしょうか?」

平本キャップ
「与野党の議員を幅広く取材しました。結果、政治家が政治家に何かを贈る行為。多くの議員が『自民党、野党問わず、食事をした時にお礼の品を贈ることはある』と話しています。ただ、何より今回は政治とカネの問題で厳しい目が向けられる中、『10万円の商品券』を渡したことには、あらゆる方面から『不適切にもほどがある』という声が多くあがったわけです」

鈴江キャスター
「そして2つめの疑問。『身内』自民党からも批判の声があがっているわけですが、その背景としてはどのようなことが考えられるのでしょうか」

平本キャップ
「今回の問題、一番感じるのは身内の自民党からの批判が強いという点です。2つの理由があるとみています。1つ目は先週、石破首相の高額療養費制度の見直しをめぐる、優柔不断とも言われた判断のブレには自民党内からも批判が出ました。今週水曜日(12日)には公然と『退陣要求』が出る事態にまで発展しました。そこにまた新たな問題が起き、『反石破の火』がさらに大きくなった、と言えます」

「2つ目は『選挙が近い』という点です。去年の衆院選は裏金問題で惨敗しました。この夏には、参院選があります。また、政治とカネの問題が起き、参院議員を中心に『石破総理では戦えない。今、かえないと大負けする』という声が強まっているわけです」

鈴江キャスター
「3つめのポイント。今回の件を受け、石破首相は辞任に追い込まれる事態にまで発展しそうですか?」

平本キャップ
「こちらも2点に注目します。1つ目は自民党内の『石破おろし』が強まるかですが、そのためには『石破さんではダメだ』という声がさらに、うねりとなること。そして『次はこの人だ』という声が出てくるかが焦点と言えそうです」

「2つめは『野党の本気度』です。野党側も本音では複雑なんです。ある立憲民主党の幹部は『辞任に値する問題だが、参院選は石破さんと戦った方が野党には有利だ。どこまで本気で追い詰めるか難しい』と心境を吐露しています。この背景には少数与党国会で野党が本気になれば不信任案を可決できる、そういった野党が強い力をもっていることもあります」

「こうした事情から、選挙は石破首相では戦えないと退陣を望む自民党と、本音では石破首相と選挙を戦いたく、辞めてもらいたくない野党側と、奇妙な『ねじれ現象』が起きている状況もあります」

「こうした動きにいつ、変化が出るのか。時期的なポイントは、まずは政府与党が予算案成立を目指す今月末です。14日、自民党幹部からも『予算の成立と引き換えに辞任もあり得る』という声が出ました。次は、6月下旬の国会の会期末です。ある立憲幹部は『不信任案を出さない選択肢はない』と戦闘モードです。先ほど話した通り、野党が一致すれば可決する可能性もあります」

「このあと、石破首相の進退を意識せざるを得ない緊迫した展開が続きそうです」

最終更新日:2025年3月14日 19:58
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