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【史上初の事態】高額療養費制度を巡り来年度予算案修正へ 通常国会前半戦を記者が語る 自民党内から石破首相に「ブレている」の声も…立憲・野田代表の“戦闘モード”は今?【どうなる会議】

2025年3月14日 12:00
【史上初の事態】高額療養費制度を巡り来年度予算案修正へ 通常国会前半戦を記者が語る 自民党内から石破首相に「ブレている」の声も…立憲・野田代表の“戦闘モード”は今?【どうなる会議】

衆議院で来年度予算案が可決された。今回の予算案で得した政党、損した政党はどこなのか?また、高額療養費制度を巡っては参議院で再修正、可決後に衆議院で改めて議決する史上初の事態になる見通しに…今後の国会はどうなるのか政治部の与野党双方の記者とトークします。(※石破首相の“10万円商品券”問題が発覚する前の3月12日に収録したものです)

■高額療養費制度の問題で史上初めての事態に

森圭介アナウンサー:
3月4日、来年度予算案が衆議院で可決しました。2人の仕事的にちょっと一段落って感じですか?

政治部 前野全範・与党キャップ:
そうですね。予算が一番大きなものなので、普通は衆議院で可決すれば、ある程度見通しが立ってきますので、ほっとできるはずだったんですけども、皆さんご存じの通り、高額療養費制度の問題でいろいろありまして、予算が参議院に送られたんですけど、その参議院でまた修正しますみたいな石破首相の意向が出てきて、えっ?ていう感じで、どうするの、どうするの?みたいな感じで、またもめ出してるのが今現在です。

なぜか判断が遅れまして、参議院に行ってから「やっぱり見直します」という風に言い出しました。これの手続きが非常に難しくて、今まさに揉めてる状況でして、再度修正すると衆議院から参議院に来た予算を参議院でまた修正して今度、衆議院にまた戻すんですよ。これが実現すれば史上初めてのことです。

森:野党からはどう見えているんですか?

政治部 天野裕貴・野党キャップ:
異例中の異例なんですけど、高額療養費の件は野党側から「凍結しろ」と求めていたことではあるので、この結果には満足。でも手続きは不満っていうところなんです。ただ、前野さんも言ったように「衆議院でやっとけよ」と、衆議院からすると自分たちはないがしろにされて、参議院側でようやく自民党内から批判の声が出たからひっくり返すという、それは「我々、野党を軽視してるんじゃないか」という声は野党側から出ています。

■自民党内から二転三転する石破首相に対して不満

森:石破首相の判断が優柔不断だったんじゃないかという声も上がってると思いますが、どうなんですか?

前野:そうですね。これは完全に石破首相の判断がブレたというのが主な原因なので、野党だけじゃなくて自民党内からも、石破首相に対する不満というはある程度出ています。例えば小林鷹之さんという総裁選で戦った方もこの間、自民党の党大会の後に、公然とフラフラしてるんじゃないんですかという形で、石破さんのことを批判していますので不満というのは、当然溜まってきている状態ですね。

森:今後、影響してくるかもしれない。

前野:これがどこまで溜まっていくか、あるいはもうブレることはこれで終わればいいんですが、また高額療養費以外の話でまたフラフラすると、もしかすると危ない状況になる可能性もあります。

■30年ぶりの“少数与党”得をしたのは?来年度予算案可決の舞台裏

森:来年度予算案の可決で一番得をしたのはどこだったんですか?

前野:日本テレビでは国会議員らにアンケートを行いました。一番多かったのは、野党と協議してなんとか予算を通せたので、得したのは自民党じゃないかと見る人は多いです。ただ自民党だけじゃなくて、日本維新の会も高校無償化を勝ち取ったので自民党と維新がとりあえずは今の段階では得したんじゃないかと見る人が多いですね。

天野:自公国の場合、103万の壁を178万に上げるには7兆から8兆円の、いわゆる財源が必要と言われたんですけど、維新の高校無償化をするには1000億とか、いっても数千億で済む話だったので、そういう意味でも最低限の財源で予算を通せたということで自民党が得したという人は多かったですね。

森:維新の中の反応というのはどうだったんですか?

天野:そもそも今回の与党と合意をしたプロセスに問題があるという風に言ってる議員が多くて、前原共同代表と石破首相の個人的な人間関係で、決めている部分も多かったとされています。実際、前原さんも予算通過までに2回石破さんと会ったことを認めていて、党としての議論を経ずに前原さんの思いとか人間関係で作った合意だったので、それに対してはしっかり党内で途中経過を説明してという声は最後多く上がっていました。また、維新の青柳政調会長がなかなか自民党との交渉でうまくいかずに結局、遠藤前国対委員長という、党内では大物の議員が出てこざるを得なくなったというような背景もあり、政策の決定プロセスが曖昧になったことに党内では不満が上がっています。

■自公維の幹事長会談で“インフレ”維新が与党に近い存在に…

天野:自公維も最近、色々めちゃくちゃになっていて前回、与党と野党の幹部が会うってとんでもないことだったはずなのにインフレが起きてるみたいな話をしましたが、3月10日に自公維の幹事長会談がありまして、普段ですとすごいことなんですが、それが30分前にいきなりセットされたんです。ある維新の人が「飲み会じゃねえんだから、いま空いている?とかじゃないんだよ」と言っていました。

前野:もうインフレじゃないです。ハイパーインフレ。しょっちゅう会っているので、またやってるのかみたいな感じになっています。

天野:本来、何週間もかけて調整して、その自公維の会談をカメラにオープンにするのか、しないのかみたいな話なんです、それが30分前に空いてる?みたいな感じになっているわけですから、ぐちゃぐちゃになっていると思います。

森:「30分後に空いてる?」というような関係になると、野党ではありますけども、限りなく与党に近い存在になっている?

天野:それを維新のいわゆる野党マインドの強い人は、本当にそれで大丈夫なの?夏には参議院選挙あるけど、うちら与党寄りって思われてない?と危惧してる人は多いです。高校無償化は実現できた一方で、それよりも失ったもの大きいんじゃないのって心配してる維新の人は多いです。

■損をしたのは立憲民主党 遅かった野田代表の“戦闘モード”

前野:永田町では、立憲民主党がやっぱり一番損したんじゃないかと。野党もそうですし、特に自民党側からすると結局、立憲民主党が求めている政策というのは、予算通過の段階では何も入ってないですし、存在感が出てきてなかったんで、やっぱり損したのは立憲なんじゃないかという意見が多いですね。

天野:予算通過の数日前に、いきなり野田代表が会見で「戦闘モードだ」って言って、これ日本テレビ社内でも、戦闘モードって言ったからには何かするんじゃないか、年度内成立阻止とか自然成立阻止とかあるんじゃないか、調べろってなったんですけど、結果何もなかったんです。だから“スーパーサイヤ人”になったけど、天下一武道会終わってたみたいなそういう状況なんです。

これは(立憲民主党)党内からも戦闘モードどうなったっていう声は上がってるんです。会見で「戦闘モードはどうなったんですか?」という質問は当然出るんですけど。それに対しては、当時はまだ高額療養費制度が方針転換する前だったので、いや、このあと衆議院の厚労委員会とか、もしくは参議院の予算委員会の審議を通じてそういうのを勝ち取る。未だに戦闘モードは続いてるんだっていう説明だったんですね。

前野:私は「政策協議から見えてきた政局の芽」と書かせていただきました。これは政策協議を進めて今回、予算はなんとか維新の協力を得て通したんですけども、その過程で、やっぱり今回みたいな予算の修正をやっていると、やっぱりバラマキになっちゃうねと。毎年これをやってるんだと国が持たないんじゃないのかっていうのが与野党の主にベテラン議員を中心にそういう問題意識が共通認識として生まれてきていまして、この政策協議を取材した結果、やっぱり先のことを考えると、もちろん参議院選挙の後にはなると思うんですけれども、ちょっと与野党が胸襟を開いて、ちゃんと議論をしなきゃいけないんじゃないか。つまり、それがどういう形になるかわからないですけれども、大連立とか連立の組み替えとか、あるいは政界再編とかを意識せざるを得ない。

天野:「珍事」です。今回もうすでに珍しいことがたくさん起こってるわけですよね。今回、衆議院で通過した予算を参議院で今修正する流れになっています。で、参議院で修正したらもう1回衆議院に戻さなきゃいけないんですけども、これも初めてのことで、まだ決まってはないんですけども「重要広範議案」といいまして、政府がこの国会ではこれ大事な法案ですよって毎回、何個か決めるんです。

それは大事なので、ちゃんと議論してくださいねっていうことで提示するんですけど、そのうちの1つに年金法案、我々の年金に関わる法案が入ってるんですけども、広く理解を得るのが難しい内容なんですね。そうすると参議院選挙の前にそういう法案を審議すると、また自分たちの人気がなくなるということで、最初に重要ですよって言ったにもかかわらず、やっぱり出しませんということになる可能性があるんです。まだ決まってはないんですけども、重要ですよって言ったものを出さないのは史上初のことなんです。

そういうことが、この何か月かでもあったので、後半に向けてもこういう珍しいこと。それで言うと、日本維新の会が本予算に賛成するのも結党以来初めてのことだったんです。なのでそういう初めてとか、珍しいみたいなことが後半も何が起きるか分からないなっていうのが僕らの楽しみでもあり、不安でもあります。

(2025年3月12日収録)

最終更新日:2025年3月14日 12:00
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