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29年ぶりの予算修正…得した党は? 損した党は?

2025年3月4日 18:28
29年ぶりの予算修正…得した党は? 損した党は?

来年度予算案は4日、衆議院を通過した。少数与党の自民・公明の与党は、野党各党と修正協議を行った。結果、日本維新の会の協力を得てなんとか賛成多数を手にした。結局、この修正協議で「得した党」は? 「損した党」は?

約60人の与野党国会議員に緊急取材。一番得した党と答えたのは…予算成立にメドをつけた「自民党」だった。

■「得した党」最多回答は自民党、2番目は「日本維新の会」

60人の中で、約20人が「自民党」と答えた。

・「得した党」→自民党の理由

「予算のメドを立てるのが政府として一番大事な仕事」(政権幹部)
「年度内に予算を通す、底力を見せた」(首相周辺)
「少数与党で予算を通したのは石破政権の成果だ」(立憲幹部)
「国民民主の政策をのめば7~8兆だったのに、維新と組んだことで少ない金額で修正を勝ち取った」(立憲幹部)

国会が始まる前は、「予算が通らなければ、予算成立と引き換えに石破首相が退陣する」との指摘もあった。結果、予算成立のメドを勝ち取ったことに、与野党議員からは評価する声があがった。

・「得した党」→日本維新の会の理由

「修正協議を通して政策を実現した」(自民党幹部)
「自らの主張する政策を交渉で実現させた」(自民党閣僚経験者)

高校無償化、給食無償化など、政策実現を果たした「結果」を評価する声が大半を占めた。

■「損した党」最多回答は立憲民主党、2番目は「国民民主党」

60人の中で、約20人が「立憲民主党」と答えた。

・「損した党」→立憲民主党の理由

「修正協議で存在感がなかった」(与党幹部)
「立憲は攻め方を間違えた、野党をまとめられなかった」(政権幹部)
「立憲は手を広げすぎた、戦略ミスだ」(政権幹部)

また、立憲内部からも厳しい声が相次いだ―

「予算で果実を得ることができなかった」(立憲幹部)
「戦略を誤った。当初は日程闘争をしないと言っていたのに、急に『戦闘モード』になった。時すでに遅し」(立憲幹部)
「高額療養費制度見直しの『凍結』を勝ち取れなかった」(立憲ベテラン)
「高校無償化、給食無償化はもともと立憲の主張。維新に持っていかれた」(立憲若手)

・「損した党」→国民民主党の理由

「修正協議で無理な主張をして成果を得られなかった」(政府関係者)
「自分たちを高く売ろうとしすぎ、戦略を誤った」(政府関係者)
「国民は与党を叩くだけで何も得なかった」(維新幹部)
「年収の壁など何も政策を実現できなかった」(維新若手)

国民民主は年収の壁をめぐり、178万円への引き上げを譲らず、協議は決裂した。結果が出なかったことに厳しい意見が出た一方、ある国民民主党の幹部は、「参院選を見据えればプラスだ。『手取りを増やす』ことに反対の自・公・維と、賛成の国民民主という構図で戦う」と話している。

■来年度予算案が衆院通過へ…石破政権の今後の課題は?

誰が得をしたのか? ある立憲の若手は「これだけ野党が要求してばらまきが実現した、得したのは有権者だ」と冷ややかに語った。

立憲幹部の1人は「立憲だけが政策実現の財源を提示した。しかし、財源を提示しなかった野党の案が採用された。これでは『正直者がバカを見る』だ」と振り返った。

少数与党では、野党の協力がなければ政策は実現できない。しかし、ある財務省幹部は「財源の議論もなく、野党の案を丸呑みし続けていては国家財政が持たない」と指摘する。

石破政権には、野党の理解を得る議論に加え、政策実現を裏付けする財源の議論にも責任を持つ姿勢が求められる。

最終更新日:2025年3月4日 19:36