宿泊施設を悩ます“備品持ち帰り”問題…過去に枕やドライヤーなど紛失 逆に荷物を“置き去り”にする宿泊客も
宿泊施設が今、備品の持ち帰りに頭を悩ませています。枕やドライヤーなど、本来、持ち帰ってはいけない備品が無くなっていることもあったといいます。反対にスーツケースや衣服などを“置き去り”にしていく宿泊客も増えていて、そこでも頭を悩ませていました。
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横浜ベイホテル東急・ハウスキーピング担当副支配人 高橋善也さん
「過去にこちらの羽毛枕の紛失が何件かありました。(宿泊客が)お持ち帰りになられて使ってらっしゃるのかなと」
横浜・みなとみらいにあるホテル「横浜ベイホテル東急」で今、頭を悩ませているのが“備品の持ち帰り”です。
横浜ベイホテル東急・ハウスキーピング担当副支配人 高橋善也さん
「ハンガー、あとドライヤーですとか、最近ですとゴールデンウイーク中でティッシュケース」
過去には、バスローブを持ち帰ろうとした宿泊客がいたこともあるといいます。
横浜ベイホテル東急・ハウスキーピング担当副支配人 高橋善也さん
「追及するのも判別するのも結局、難しい。半分、諦めみたいなところは多いと思います」
横浜ベイホテル東急では、シャンプーなど個別包装のアメニティーは持ち帰り自由ですが――
横浜ベイホテル東急・ハウスキーピング担当副支配人 高橋善也さん
「モラルのお話になると思うんですけども、お客さまによってはやはり考えが異なると思いますので」
新型コロナウイルスも5類に引き下げられ、ますます旅行熱が高まる今、“ホテルの備品の持ち帰り”について街で聞いてみました。
10代
「くしとか乳液とか持って帰ります」
20代
「歯ブラシ、袋に入っている」
70代
「お茶なんかもとってもいいお茶置いてあるとこがあるのね。あれは飲みきれないのは持って帰ってくる」
20代
「綿棒とかは持って帰った」
「綿棒持ち帰るの?」
ただ正直なところ、「ちょっといいホテルとか泊まった時のバスローブがあった時は、ワンチャン持ち帰ってもいいかなみたいな。だめだと思いますけど」「枕持って帰りたいと思った時はあった」「広いベッドとかは持ち帰りたいね」と話す人もいました。
持ち帰っていい備品かどうかの線引きについては、「使い捨てか、使い捨てじゃないか」「家電以外は持って帰っていいかなと」というように考え方もさまざまでした。
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とあるホテルの客室清掃会社によると、過去にはテレビが無くなったという事例もあるといいます。
東京・浅草のゲストハウスでも――
からくり粘土の遊園地社 田原千代表
「シャンプーとか、ボディーソープとか、この中身を自分の容器に移して持って帰る人いるんですよね。移すのも大変じゃないかなと思うんですけど」
シャンプー丸々1本分や洗剤の容器ごと、トイレットペーパーもロールごとなど、消耗品をごっそり持ち帰る客が多いといいます。
からくり粘土の遊園地社 田原千代表
「悪いことしているというよりは、『これくらいはいいだろう』という感じ。(ゲストハウスは)値段層が低価格な方で、少しでもお金をセーブしたい方が多いんじゃないかと。なるべくやめてくださいねという感じです」
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あとをたたない備品の持ち帰りと同時に増えているのが、持ち帰りとは逆に“荷物を置いていく客”です。
――全部置いていった?
かどやホテル宿泊部 今仲孝夫次長
「このへんは4月にお泊りになった方」
「衣類とか靴、壊れたスーツケース」
東京・新宿にある「かどやホテル」では、去年秋から外国人旅行者が増えるとともに置き去りも増加しているといいます。
不要な荷物を部屋に置いていかないようポスターで呼びかけていますがおさまらず、保管場所に困っているといいます。
かどやホテル宿泊部 今仲孝夫次長
「正直言うと、捨てていっているんだろうなとは思うんですが、(捨てる)意思表示がない限りは私たちも処分することができないので」
ホテルでの過ごし方のモラルが問われています。
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備品の持ち帰りについて、弁護士に話を聞きました。
横浜パートナー法律事務所 佐山洸二郎弁護士
「刑法上の窃盗罪にあたる可能性がありまして、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金に科される可能性があるので、気をつけた方がいいかなと思います」
取材したホテルは、持ち帰っていいかどうか迷った時にはスタッフに相談してほしいとしています。